本田技術研究所ミーティング…SH-AWDが電動でレベルアップ

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ホンダSH-AWD
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ホンダが12月5日に開催したジャーナリスト向けの技術披露会。試乗コースのツインリンクもてぎには、ハイブリッドカー(HEV)、プライグインハイブリッドカー(PHEV)、純電気自動車(EV)など、開発中の電動車両が多数持ち込まれた。

電力をハンドリング向上に生かすというユニークな技術提案が『電動SH-AWD』だ。SH-AWDは現行『レジェンド』に搭載されている4WDシステムで、後輪にかかるトルクを左右それぞれ自在に制御して、コーナリング時の回頭性や安定性を飛躍的に向上させるというのがうたい文句であった。

エンジン性能自体が高級スポーツサルーンのトップクラスにはほど遠いレジェンドでは、SH-AWDは車のキャラクターに合っておらず、またレジェンド自体が不人気モデルとなってしまったこともあって、ユーザーにはほとんど忘れ去られたも同然の技術である。が、通常のでデファレンシャルギアの能力を超えて左右輪の駆動力を制御するという機能自体は非常に革新的で、効果は高い。その機能を電動方式で再び世に問おうというのが、電動SH-AWDの開発意図である。

試作システムが実装されていたのはミディアムハイクラスセダンの現行『インスパイア』。フロントにV6エンジンと電気モーター1基、後輪に出力20kW超の電気モーター2基からなるSH-AWDを装備していた。

いくつかのコーナリングやパイロンスラロームからなる試走路を走っていたところ、確かに回頭性はノーマル車に比べて格段に高められていた。頭に重いV6を搭載しているにもかかわらず、アクセルオンで容易に鼻先がインを向く軽快感はスモールセダン並みであった。電動化によってさらに制御の自由度、レスポンスが上がったためであろう。

このシステムがどのようなモデルに搭載されるかはまだ明らかではない。高級車か、それとも登場が噂されているNSX後継ハイブリッドスポーツなのか。デビューが楽しみである。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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