最初の交差点でステアリングを切った瞬間に、従来の『エクスプローラー』とはまったく違う乗り物であると感じた。そして山道に乗り入れると、その感想は確信に変わった。
アメリカンSUVの象徴と言えたラダーフレームとV8エンジンに別れを告げ、短いノーズにV6エンジンを横置きしたモノコックボディの走りは、完璧なまでに乗用車的だった。
といっても、一部のプレミアムSUVに見られるような、足を動かさずにスポーティなハンドリングを目指したキャラクターではない。強靭なまでの剛性を誇るモノコックボディとロールを抑えつつ自在にストロークするサスペンションが、しなやかな乗り心地と安心できるロードホールディングを両立している。だから快適な移動を味わいつつ、ボディの大きさや背の高さを感じさせないリニアな走りを享受できる。
大人7人がゆったり乗れるこの車体を、わずか3.5リットルで不満なく加速させることにも驚かされた。自動車の世界ではしばらくごぶさただった「アメリカの底力」を見せつけられたようなモデルチェンジである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。