【メルセデスベンツ CLS 試乗】ポルシェが道を譲る…千葉匠

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CLS 350 AMGスポーツパッケージ
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軽井沢のワインディングで、前を走っていたポルシェ『911』が道を譲ってくれた。ルームミラーに映る『CLS』の顔付きがそうさせたのだろうか?

大きなスリーポインテッドスターを中央に据えたグリルを低く構え、オールLEDのヘドランプはシャープな眼付き。それが威圧感を与えたとしたら申し訳ない。もう少し車間距離をとって、ポルシェ乗りのプライドに気を遣うべきだった。

6年ぶりにフルチェンジした新型CLS。スタイリングは先代以上にアグレッシブだ。ヘッドランプの後端からリヤに向けて下降する”ドロッピングライン”と、その勢いをせき止めるように張り出したリヤフェンダーが、4ドア・クーペのプロポーションをよりダイナミックに見せる。
 
とはいえ、524psの直噴V8ツインターボを積む「CLS63AMG」でも、けっして猛々しいクルマではない。ちょいと踏めば低いうなり声と共にパワーが湧き出てくるが、それがもたらすのは「心の余裕」と言うべきだろう。

BlueEFFICIENCYを名乗る「CLS350」は直噴V6。306psだから遅かろうはずもないが、これも乗り手を急き立てるような感覚はない。燃費計の推移から勘案すると100km/h巡航なら13km/リットルは確実で、4000rpm以下の低負荷領域でリーンバーンする効果を実感できる。社会的マナーに優れたエンジンだ。

そんな感想を得てあらためて外観を見ると、内に秘めたキャラクターに対してスタイリングがアグレッシブすぎる、との疑問がよぎる。ダイナミックなフォルムはトレンディだし、メルセデスのなかでCLSはそれを最も表現すべき1台だいうのはわかるが、ちょっとトレンドに乗りすぎた・・のかも。「ポルシェを蹴散らすCLS」なんて、きっと誰も望んでいないはずだからね。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーのデザインジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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