ルノーでインテリアデザインを統括していたファビオ・フィリピーニが、4月1日付けでピニンファリーナのデザインディレクターに就任した。前任のローウィー・ヴェルメルシュが昨年、個人的な事情で退社したのにともなう人事だ。
イタリア出身のフィリピーニは若い頃に日本のカーデザイン会社、デザインクラブインターナショナルで経験を積んだ知日派で、1993年にルノーに移ってからはアドバンスデザイン(先行研究)、パリ市内に新設したスタジオの責任者、インテリアデザイン統括などを歴任してきた。
ちなみにルノーのエクステリアデザイン統括だったティエリー・メトーズは2009年暮れにシトロエンに移籍してデザインディレクターとなり、メトーズの後任には昨春、元サーブのアンソニー・ローが就いた。
ローがいなくなったサーブはピニンファリーナでヴェルメルシュの同僚だったジェイソン・カストリオータが設立したデザイン会社と契約し、彼を事実上のデザインディレクターとして迎えている。
ローはかつてメルセデスの横浜スタジオで働いていた。マツダのデザイン本部長だったローレンス・ヴァン・デン・アッカーが09年にルノーに移籍してデザインディレクターとなり、ローとフィリピーニという二人の知日派を起用して新たな体制作りを進めてきたわけだが……。
結果的には「玉突き的なデザイナーの異動」のひとつの引き金を引いたと言えるのかもしれない。世界は回る。有能なトップデザイナーの人事も回り続けているのだ。