「リンクアップフリー」で2010ATTTアワードの最優秀賞を受賞した本田技研工業は、インターナビ事業室長の今井武氏が基調講演を行った。
講演ではホンダのインターナビへの取り組み、サービス内容を解説。刻々と変化する交通環境に対し、円滑なドライブのための情報配信について語られた。そのなかで、「フローティングカーデータは、平日は85万km、休日では180万kmにもおよぶ道路区間の情報が集積される。このプローブデータとVICSのデータを融合することで、最適なルート案内を実現し、20%の時間短縮や15%の省エネを得られる」と語る。
省エネのためのルート探索に関しては、速度や加減速による燃料の噴射量データ、発信加速の係数など、自動車メーカーのみが持ちうるデータを駆使して、最も燃料消費量が少ないルートが提供できることを提示。さらに、これまでの早く着く、あるいは安く着くに加えて、季節や時間、天気を考慮して、ドライブをより楽しめる「シーニックルート」など、インターナビの会員ならではのメニューも紹介された。
また、テレマティクスによるリアルタイム情報の活用についても語られ、複数の企業と共同で運営される、大規模災害時の「災害時移動支援情報共有システム」の運用についても解説。プローブ情報の解析と活用によって実現した、慢性的な渋滞解消や危険区間の対策など、行政との連携による道路環境の改善についても語られた。
リンクアップフリーに関しては、自社ブースでもアナウンスされていたが、講演ではさらにユーザーや販売店サイドからの声を取り上げ、リンクアップフリーがいかに好評か、その効果についての報告もあった。
他社のサービスとの直接比較は行っていないが、「プローブ情報はそれをどう使うか、質が問われる」ということも言及。他社とのプローブ情報の共有化に関する課題、新しいビジネスモデルへの進化など、あまり公には語られない、濃い内容の講演だった。