11日に発表された三菱ふそうの小型トラック『キャンター』。目玉のひとつは、小型トラック初採用となるデュアルクラッチトランスミッション「デュオニック」の採用だ。
このデュオニック採用には「乗用車感覚で乗ってもらえるように」という思いが込められており、国内販売の割合も9割をめざすという。
キャンターは2009年にトルコン式ATを廃止し、シングルクラッチAMT(機械式自動変速機)「INOMAT-II」を採用してきた。しかし変速のショックやタイミングなど使い勝手の面からユーザーからの評判はあまり良くなかったのだという。
キャンターは小型トラックとしての性格上、長距離走行よりは街乗り向け、大規模法人ユーザーよりは個人事業主向けにターゲッティングされている。そこでユーザーが普段街乗りで使う乗用車を運転するそのままの感覚で、気軽にかつストレスなく運転できるようにと開発されたのがデュオニックだ。採用にあたっては小型・コンパクト化できることも大きなメリットだった。
デュオニックは変速ショックが少なく、2ペダルのためイージードライブが可能。クリープ走行を可能としたほか、乗用車で一般的な「Pレンジ」も採用し使い勝手を大幅に向上させているのが特徴だ。DCTらしくMTモードもあり、MT車のように意のままにシフトチェンジすることもできる。また「ECOモード」採用のほか、オプションでアイドリングストップも設定し、街乗りでの快適性、環境性能に特化した。
直近のデータでは年間約2万台を販売しているキャンター。新型は年間2万5000台の販売をめざす。最量販モデルは2t平積みの4ナンバー車になると見ているが、全ラインナップ中のデュオニック車販売は9割をめざす。
また、「乗用車感覚で乗れる」ことを広くアピールするため、全国のディーラーに400台の試乗車を用意し、積極的な展開をはかる。「トラックの販売では口コミも重要なマーケティング戦略。まずはより多くの人に新型の良さを体感してほしい」と同社関係者は語る。400台規模で試乗車を設定するのはトラック業界では異例だという。