自賠責保険料「隠れ貸付」はユーザーに返済されるのか

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馬淵澄夫国交省 撮影=石田信一郎
  • 馬淵澄夫国交省 撮影=石田信一郎

自動車ユーザーが払い込んだ自動車賠償責任保険(自賠責保険)の保険料の運用益約6000億円が、特別会計の見直しで消えようとしている。

この運用益は30日に行政刷新会議が仕分けをする自動車安全特別会計」から一般会計に繰り入れられ、国土交通大臣と財務大臣の覚え書きで、来年度に返済されるはずだった。

「財政が厳しいという状況の中で『覚え書き』で一般会計に貸し付けてきた。隠れ借金じゃない、隠れ貸し付けが自民党時代に行われてきたことを改めて知ったわけです」

29日の会見で馬淵国交相はこう前置きして、次のように続けた。

「過去の政権においていろいろその場しのぎもあったのでしょう。その時の状況を知らないので一刀両断にする気はないが、この政権交代の時期に整理すべきものは整理すべきだと思っている」

この特別会計には1円の税金も投入されていない。自動車ユーザーの保険料を元に運用され、その累積運用益の一部が94年と95年に特例法によって、一般会計に貸し付けられた。

巨額の累積運用益が積み上がった要因は、自賠責保険の保険料の設定が高すぎたからであり、国への貸付金が不要であるならば、保険料の引き下げという形で還元すべき性格のものだ。

さらに、この累積運用益は、もともと交通安全の被害者対策として利用されることが決まっている。

そのことは馬淵氏が知らないわけではない。

「だから、この中ではどういう取り扱いをするのかという整理も必要。一方、会計の成り立ちの中で、いや、もっと広く国民共有の財産として考えるべきではないかという意見が、場合によっては自動車安全特会だけでなく、いろんなご意見あると思う」

また、自動車関係団体などから返還の要望が出ていることを意識してか、こうも話した。

「声の大きい方、この会計についてはこうあるべきだと様々な利害の関係のある方がおっしゃっているをよく承知しているが、声が大きいということだけで動くべきではないと思っている。客観性、透明性を持って動くべきだと思っている」

客観性、透明性とは何か。保険料運用益は誰のものか。

《中島みなみ》

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