【ベストペインターコンテスト】自動車塗装に関するあらゆる技術と知識を競う

自動車 ビジネス 企業動向
クリアを吹き付け
  • クリアを吹き付け
  • 作業用のツナギに着替える永塚さん
  • 準備体操に余念がない
  • R-Mのペイントブース
  • Spot Artでの実技
  • Spot Artでの実技
  • 用品をチェックする永塚さんと通訳/サポートのBASFコーティングスジャパンの坂本憲さん
  • 開始前に説明を聞く

世界一の自動車補修塗装技術者を決める「BASF R-Mベストペインターコンテスト」がフランス・パリ郊外のクレルモン、R-Mの研修センターでおこなわれた。日本代表の永塚伸洋さんを初めとして、世界17か国からエントリーした参加者らはどのような競技をおこなうのか。

◆競技は一斉ではなく個々に実施

全体の簡単な説明と場所の説明があり、後は1人で競技を行う。それぞれの種目の場所が決まっており、それをローテーションで回して行くので、競技の順序は参加者によってすべて違う。

実施場所は、塗装実技がおこなれる作業ブース(Booth 1、 Booth 2、Small Booth、CTSBooth)、その他は建物の1階と2階でColourRoom、Rinched、Masonの3つの部屋で、5つの競技が行われる。

各参加者には通訳が付くことが認められていて、永塚さんにはBASFコーティングジャパン社の坂本憲さんが付いた。各競技内容について、以下に説明しよう。

【1】Spot Art
小面積の補修塗装を見る実技。仕上がりの結果のみならず、塗料の調合などの準備から必要な用具の選択、完成時間など全体のプロセスが採点範囲。また、健康や安全を考慮したかも評価項目に含まれる。鈑金による補修を前提としての部分塗装で、はげ落ちた塗装を他の部分と違和感なく馴染ませる技術が要求される。

【2】Colour Harmony
カラーハーモニー。32枚のカラーカードが与えられ、それを色のサークル(色 相環)に並べるというもの。永塚さんは2分程で難なく出来てしまった。

【3】PRP Selection
PRPはPaint Related Productsの略。塗装に必要な物を必要ないものも多量に置いてある中から選びだす。日本語で書いたものはなく、中にはフランス語でのみ表記されている用具もある。永塚さんはこの競技からスタートした。

【4】Body Shop
簡単に言えば間違い探し。ボディショップの中で、写真の中の間違えを指摘して、その理由を説明する。正しく指摘された問題点と解決時間で判断。間違った回答は減点される。3枚の写真が用意されているのだが、塗装の欠陥の線とか、ざらざら感のある塗装などが含まれていて、参加者にとってはどの点を指摘すべきか迷う箇所も多い。

【5】Colour ID
5個のすでにペイントされたカラーパネルがあって、1万5000枚あるカラーマスターのなかから正しいものを選ぶ。正解数と要した時間で得点が決まる。カラーIDプレートの使用せず、目による判断能力を見るもの。

【6】Efficient Application
大面積の補修。Spot Artとは異なり、ボンネットやドア、フェンダーなど部品そのものを交換するケースを想定しての再塗装。したがって工場での塗装と同等の塗装品質が問われる。7つの競技の中でもっとも採点のウェイトが高く、作業のプロセスや使用した塗料の量なども評価の対象に含まれるのはSpot Artと同様だ。

【7】Creativity Task / R-M LOGO paint
R-Mのロゴを入れて、その他は自由に、50 x 50cmのパネル上に自由課題でデザインする。デザインについては予め参加前に決めておくことができる。フリーハンドでの塗りもOKとされる。永塚さんは日本を象徴する知名度のある存在として富士山を描き、R-Mのロゴを太陽に見立てて配置した。

なお、このCreativitiy Taskについては総合結果とは別に、特別審査員のChip Foose氏による講評が行われた。競技終了後に各参加者の作品が展示され、それぞれの参加者に作品意図を聞き、Foose氏がそれぞれに印象をコメント。この部門の優秀者はカザフスタンのIvan Gritsiyenkoさん。プリントの3原色を使って手を描いたオリジナリティーある作品と評価されたた。

表彰式では、これら7つの競技結果を総合した結果が発表される。永塚さんは初出場国ながら見事1位を獲得し、その技術の高さを証明した。

《佐藤純(Jun Sato)》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集