往年のGTカー、シトロエン『SM』が復活するかもしれない。シトロエンは10月2日から一般公開されるパリモーターショーで、SMをイメージしたコンセプトカーを公開する予定であると、伊紙『ラ・レプブリカ』が伝えた。
オリジナルのSMは1970年のジュネーブモーターショーでデビューした。スタイリングは、シトロエンにおける当時のチーフデザイナー、ロベール・オプロンによる。エンジンは1968年にシトロエンが傘下に収めたマセラティによるV型6気筒2670ccを搭載。そのいっぽうで、サスペンションはシトロエンが誇るオートレベリング機能付きのハイドロニューマティックを装備していた。
今回の復活プロジェクトは、今年2010年がSMの誕生40周年にあたるのに合わせたものである。ただし車名は、1955年に発表されたシトロエン『DS』の廉価版に使用されたことがある「ID」となるようだ。
オリジナルのSMは極めて前衛的な車であったにもかかわらず、マセラティ・エンジンのメインテナンス性の低さにオイルショックが追い討ちをかけ、生産打ち切りの1975年までに造られた台数は1万2920台に留まった。
それに対して、今回のIDこと復活版SMのパワーユニットは、200馬力のディーゼルハイブリッドとなる見込みである。
どこまで量産を前提としているかは現段階では明らかでないが、元祖とは対照的に今日自動車を取り巻く環境を意識したものになると思われる。
ちなみに今回のSM復活のニュースに関し、筆者の知人で、シトロエン歴史車を複数所有するフランスの熱心な収集家は、「元祖SMは、オリジナル性溢れるスタイル、独創的な数々の機構、ロードホールディング、そして高い快適性が調和した素晴らしい作品だった。もしシトロエンがそれらの輝かしい遺産を継承するなら、復活は大歓迎であり、生産化も強く望む」と語っていた。