【ケータイナビガイド '10】「ローカルだけで動くWindows Phone版の強みを活かす」…いつもNAVI PND 開発者インタビュー

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いつもNAVI PND v2
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  • 企画・制作本部サービス制作部 岩本弥生氏
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ゼンリンデータコムは「いつもNAVI」ブランドで、ケータイからiPhone、スマートフォンに至るまでマルチプラットフォームでナビゲーションアプリを提供している。開発を担当している企画・制作本部サービス制作部リーダーの岩本弥生氏にWindows Phone版アプリの狙いと特徴を聞いた。

◆ローカルに全データを保存

----:「いつもNAVI PND」は“PND”の名を冠していますが、Windows Phone(旧Windows Mobile)向けのアプリサービスなのですね。まず開発の経緯について教えてください。

岩本:Windows Phone向けのナビゲーションアプリを開発することになったのは、当社のナビゲーションを「いつもNAVI」ブランドに統合した際に、他社のハード向けにナビゲーションアプリを提供するというtoBビジネスの展開も構想にありました。ですがアプリを開発したはいいけど、肝心の載せるハードウェアがなくては意味がありません。そのために、一般的なPNDが採用するWindows CEベースと基本的なプログラミングが共通のWindows Phone向けのアプリ開発に着手したというわけです。

----:他の通信端末向け「いつもNAVI」は基本的にローカルにデータを持たずすべてクラウド上でサービスを提供していますが、Windows Phone向け「いつもNAVI PND」ではローカルにデータを持たせています。この理由は。

岩本:いつもNAVI PNDでは、性能の異なる多様な端末に対応していますが、レスポンスや使い勝手など車内での利用を考えると、ローカルにデータを持たせていたほうがユーザーにとって使いやすいと考えました。通信を利用しませんので、電波圏外でもナビとしての利用が可能です。

◆Windows Phone向けでもタッチ操作をできるだけしやすく

----:iPhone版とはまた異なり、Windows Phone版は一般的なPNDに近いUIですね。

岩本:ケータイ版のような乗換案内や徒歩ナビは割愛して、カーナビ機能に絞ったサービスとしています。直感的な操作を重視しUI設計を心がけました。

----:Windows PhoneのUIは基本的にスタイラスの使用が前提になっていると思いますが、「いつもNAVI PND」はボタン類も大きくて、3インチ以上の画面サイズがあればタッチでの操作もそれほど苦ではなさそうです。

岩本:文字の入力UIも、カーナビ的な50音入力ではなく、「あ」と5回押すと「お」になる「ケータイ方式」を採用しました。やはり市販のPNDと同じような感覚で、使ってもらえるように心がけています。キーワード検索については、通信を使っているケータイ並の精度や使い勝手を実現するのは難しいのですが、文字入力中でもキーワード検索の該当件数が分かるように、左側に表示させるようにもしています。

----:端末による機能の違いはあるのですか。

岩本:基本的なナビ機能はどの機種でも共通です。ただ、現在地をケータイなどで読み取らせるQRコード表示は解像度の低い一部の端末では非表示になっています。

◆バージョン2では5ルート探索などナビ機能アップ

----:5月19日にバージョン2(v2)がリリースされますね。機能追加や改良のポイントは。

岩本:バージョンアップのポイントは、ナビゲーション機能の強化です。いままではルート探索時は推奨ルートのみの表示でしたが、今回「一般」「距離」「道幅」など5ルートの同時検索機能が追加されました。また、ルートを引いた状態で、ルート沿いのコンビニやガソリンスタンドを検索できる機能や、レーンガイドも新たに追加しました

----:5ルート探索などはケータイナビにはない機能ですね。

岩本:他にも、お気に入りポイントをKMLで出力してGoogle EarthなどにインポートできるKML連携機能も追加しています。なお市街地図搭載版では、詳細市街地図表示にも対応しています。

----:対応端末にはGPSを内蔵しているもの、外付けのGPSが必要なもの双方がありますが、精度的には有利不利はありますか。

岩本:検証した限りではどちらも精度には大きな差はありませんでした。ですが、外付けのものを用意されるお客様は、山岳向けの高精度なGPSを利用している方もいらっしゃるようです。通信しないナビですので、どこでも利用できることから、「いつもNAVI PND」で山岳地帯に行く人もいるみたいですよ。

----:そういう懐の深さというか、ユーザー側で使いこなす楽しみがあるというのは、Windows Phoneならではの特徴かもしれませんね。「いつもNAVI PND」には市街図搭載版もありますが、標準版と容量的にはどれくらい差があるのですが。

岩本:市街図搭載版は4GB、標準版は2GBです。

◆ローカルアプリの利点を訴求したい

----:開発に当たってはどんな苦労がありましたか。すんなりと開発できたんでしょうか。

岩本:Windows Phoneはアプリに利用できるメモリが32MBに限られていて、この制約の中で音声ナビゲーションや検索など同時にこなさなければなりません。開発当初は、メモリが足らないことでフリーズしたり表示がおかしくなったりしたこともありましたね。もちろん製品版ではどんな環境でも安定して動きますが…。バージョン2で新たに搭載した5ルート探索のような機能も、非常にメモリを使う機能なのですが、いろいろ工夫をして実現させました。

----:マルチプラットフォーム化を進めている「いつもNAVI」ですが、他のOSへの展開予定などはあるのでしょうか。特にAndroid端末は気になるところですが…。

岩本:検討・研究は進めている段階ですが、具体的に出す予定はまだありません。

----:スマートフォンが普及してきたとは言っても、Windows Phoneはまだまだ使いこなしが難しい端末と感じます。「いつもNAVI PND」のようなナビゲーションアプリがWindows Phoneの裾野を広げる役割を果たせるといいですね。

岩本:「いつもNAVI PND」では、通信ができないことをむしろメリットとして訴求できればと思っています。ローカルにデータをもっているからこそのレスポンス、電波の通じないところでも利用できる点、通信費は考えなくても良いですし、また電波の届かない場所でも起動できることなど…。そして、今後は徒歩モードへの対応や、ローカルデータと通信の活用によるハイブリッド化など、さらに進化させていきたいですね。

【アプリ概要】
■v2対応端末
DOCOMO T01A
SoftBank Touch Diamond X04HT※
            X02T
EMOBILE S21HT(TouchDiamond) ※
   S12HT(EMONSTER Lite)
S11HT(EMONSTER)
WILLCOM WS020SH(WILLCOM03)
WS027SH(HYBRID W-ZERO3)
※は市街図搭載版非対応

■価格
いつもNAVI PND v2…1万500円
いつもNAVI PND v2 市街図搭載版…1万5000円 
いつもNAVI PND v2 アップグレード版…8500円

■公式サイト(PC)
ゼンリンデータコム いつもNAVI PND
http://www.zenrin-datacom.net/wp/

《北島友和》

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