サッカーワールドカップの開催国となる南アフリカ。これまでなじみのなかった人も多いと思われるが、実は、鉱物資源の乏しい日本にとって、供給元として重要な国となっている。
南アフリカの地下資源は、金、プラチナ、ジルコニウムが埋蔵量世界1位、クロム、マンガンが同2位、バナジウムが同3位と、レアメタルが豊富だ。とくにプラチナに関して日本と南アフリカとは密接な関係にある。
田中貴金属工業によると、プラチナは世界産出量の80%が南アフリカで、産業用プラチナ使用量世界1位の日本にとって、南アフリカが最大の資源供給元だ。南アフリカの輸出総額803億ドルの10%=80億4600万ドルを日本に輸出しており、南アフリカにとっても輸出対象国として日本が重要な国となっている。
プラチナは排ガス浄化装置や燃料電池の材料に使われ、今後も需要が高まると予想される。同じく田中貴金属工業によると、南アフリカのプラチナ生産体制の動向が、価格を上下させる一因だという。現在インフレ傾向にある南アフリカでの産出コストの推移が注目される。
南アフリカはこれまで鉱物資源の輸出に頼った経済政策だったが、今後は国内産業を育成し、資源を加工して付加価値を与えてから輸出することをめざしているという。世界の注目を集めるワールドカップを開催することより南アフリカは、国外からの投資や技術供与を集めることも意図している、と田中貴金属工業は分析する。