高速道路の一部無料解放(無料化社会実験)が6月末に実施される。しかし、大多数のユーザーが恩恵を受ける上限料金制についての国会審議がまったく進まない。会期末は6月17日。約半月を残すだけとなり、前原国交相は1日の閣議後会見で、この状況を憂慮した。
「高速道路の関連法案が仮に継続審議となった場合、臨時国会の開催がどうなるかにもよるが、基本的にはETC土日休日1000円の上限割引が続く。今の仕組みだと(それも)来年3月末で切れる。新たな手立てをしなければ、もとのかなり高額な高速道路料金に戻る」
4月に前原氏が発表した新料金上限制は、ETC利用や曜日に関係なく上限2000円(本四高速は上限3000円の別立て料金)だった。この新料金プランを実行するためには、土日休日1000円の上限割引の財源として確保された「道路整備事業財政特別措置法」の改正案を成立させなければならない。
旧政権で「利便増進事業」としてほとんどが料金の割引だけに使われるはずだった約3兆円の財源枠の使い道を、改正案では上限料金を1000円から2000円に引き上げることで、東京外環道や名古屋環状2号線、4車線化などの高速道路建設に振り向けた。
しかし、法案成立が遅れると、来年3月末までに上限1000円の割引原資だけで「約2500億円くらいのお金がかかる」上に、「当該地域からは、ぜひ法律を早くやってもらわなければ、国幹会議で決定された道路建設が進まないという要望を承っている」と、前原氏は焦る。