三菱 i-MiEV エコランのコツとは? 燃費マスター増岡浩氏に訊く

エコカー EV
航続距離に不安を抱えるEVだが、エコランを心がけることで燃費(電費)性能を高めることができる
  • 航続距離に不安を抱えるEVだが、エコランを心がけることで燃費(電費)性能を高めることができる
  • 「EVでのエコランのコツは、そのままガソリン車にも応用できる」と増岡氏は語る
  • 立体交差などの上り坂では平地から前もって加速し、頂上手前でアクセルを抜くと良いのだという
  • 高速走行を行うと空気抵抗が大きくなるため、消費電力は大きくなる
  • 横浜横須賀道路、横須賀PAで充電中のiMiEV
  • 三菱 i-MiEV は満充電で約160km走行可能。だが道路状況やエアコン操作などにより消費電力は変わる

4月から一般販売が開始された三菱自動車の新世代電気自動車(EV)『i-MiEV(アイミーブ)』。その i-MiEVを使ったメディア対抗エコラン大会が行われた。スタート前のブリーフィングでは、パリ・ダカールラリーの優勝者で、現在は同社の商品戦略本部に所属する増岡浩氏がEVでのエコランのコツについて説明を行った。

「エコランは良いことずくめ。まずエネルギー消費が少ないため、お財布にも環境にも優しい。クルマをいたわるので長持ちする。スピード違反で捕まらなくなる。運転がスムーズになるので同乗者が酔わない。目標ができるので運転が楽しい。心に余裕ができるので、運転が疲れない。そして、割り込まれても腹が立たない」という増岡氏は、これまでもたびたびエコランに挑戦している。

コンパクトカーの『コルト』(1.3リットル、4WD・CVT)で長野から札幌まで1138kmを25.3km/リットル、またSUVの『RVR』(1.8リットル、4WD・CVT)で北海道の松前から北の端の野寒布岬まで1122.8kmを19.3km/リットルという燃費で走ったという。4WDでこの数値とは、さすがはプロ中のプロである。「エコランを心がけるようになってから、初めて免許がゴールドになったんですよ」(増岡氏)

その増岡氏の i-MiEV省燃費指南は、次のようなものだった。スピードを出しすぎないのは当然として、「i-MiEVは加速中、ちょっとずつアクセルを抜いていくと、電力消費量は減る(パワーメーターでわかる)のに加速するポイントがあります。また、慣性走行のときにはパワーメーターの針がゼロになるようアクセルを上手くコントロールすると、電力消費を抑えられます」

「i-MiEVにはクリープ現象がありますが、ブレーキをある程度強く踏むか、シフトレバーをPレンジ、Nレンジに入れるとカットされます。停車時にはクリープに電力消費を使わないよう心がけてください。また、停止はアクセルオフの時の回生による減速をうまく利用してください。フットブレーキを使うと回生が停止してしまいます」

興味深かったのは坂道の速度コントロール。

「40km/hで走っていて前に立体交差などの坂を見つけた場合、50km/hくらいまで加速し、登り切るまでに40km/hくらいになるよう少しスロットルを抜き気味にして走るといいですよ。坂道の途中で加速するのはエネルギーをかなり食います。登り下りが連続する場合は、下り坂でスピードを乗せて登りで抜き気味に走るというのを繰り返すといいでしょう」

電装系については、

「エアコンは電力消費量が大きいので、こまめにオンオフして温度調節を行ってください。冷やしすぎず、暖めすぎずというのはオフィスのエアコンと同じです。一方でヘッドランプ、オーディオなどは走るのに使うエネルギーに比べると無視できるレベルなので、そう神経質になる必要はありません」

エコランのコツの大半は、きわめて基礎的な内容である。が、その基礎をコツコツと積み上げ、素晴らしい燃費値を出すのは高度なテクニックと忍耐力を必要とする。燃費マスターぶりをみせる増岡氏が講話で示した内容は、EVに限らず、ガソリン車であっても普段から実践してみる価値があるものに思えた。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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