メルセデスベンツが1960 - 1970年代に発表したコンセプトカー、『C111』。そのうちの1台が、輸送中にトレーラーごとハイジャックされ、車両がダメージを負っていたことが判明した。
C111は1969年のフランクフルトモーターショーで初公開。メルセデスベンツが技術開発を目的に製作したコンセプトモデルだ。グラスファイバー製の軽量ボディは、2ドアクーペデザインで、ガルウィングドアが特徴。ロータリー、ディーゼル、ターボなど、市販を前提とした複数の技術が搭載され、開発が続けられた。
1970年のジュネーブモーターショーでは、進化型のC111を披露。4ローター・ロータリーエンジンは、最大出力350psを引き出し、0 - 100km/h加速4.8秒、最高速300km/hを誇った。
C111はその後、ディーゼルターボにエンジンを変更し、1978年には最高速322km/hを記録。市販に向けて研究開発が続行されていたが、オイルショックの影響などで開発が中止された「悲運のスーパーカー」である。
複数製作されたC111の1台がこのほど、ドイツから英国ブルックランズへ、展示のため貸し出されることになった。しかし、輸送中にトレーラーごとハイジャック。犯行グループはこのC111の自走を試みたようだが、実はこのC111、エンジンなどの駆動系が搭載されていないモックアップだったのだ。
犯行グループは、それであきらめたのか、C111を乗り捨て、C111はガルウィングドアとフロントフェンダーを破損した状態で見つかったという。