「ミスター・フィアット」アニエッリ元会長のドラマ制作中

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ジョヴァンニ・アニエッリ
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フィアットの元名誉会長・故ジョヴァンニ・アニエッリ(1921-2003)の生涯を描いたドラマの制作がイタリアで進められている。タイトルは現在のところ「最後の王様(l'ultimo re)」になる予定だ。

放映するのは、イタリアの民放テレビ局でベルルスコーニ首相系の「カナーレ5」。今年秋に2夜に分けて放送の予定。アニエッリ役には、渋い演技で定評のあるイタリア俳優・ファブリツィオ・ベンティヴォッリオを起用する方向で動いている。

制作を担当する「タオドゥエ」社のプロデューサーであるピエトロ・ヴァルセッキは、「カリスマ性溢れたアニエッリを表現することは、一歩間違えば誤解にも繋がる困難な作業。しかし、イタリアの戦後経済成長の象徴であり、唯一無二の指導者を描く時がようやく熟した。彼は財界の巨頭であっただけでなく、高い教養を備え、また熱烈なユヴェントス・ファンであり、愛した女性たちも多かった。魅力的なストーリーを展開できる素材が充分に揃っている」とコメントしている。

ジョヴァンニ・アニエッリは、華やかな人生とともに悲劇的な運命もつきまとった。1997年には第一の後継者と目されていた甥のジョヴァンニ・アルベルトが悪性腫瘍によって33歳の若さで急死した。続く2000年には愛息のエドゥアルド(46歳)が高速道路上の陸橋から飛び降り自殺をしている。さらに遡れば、父親も1935年に不慮の飛行機事故死を遂げている。

そうしたことからアニエッリ本人のみならず、「イタリアのケネディ家」と例えられるアニエッリ一族のドラマティックな歴史もふんだんに描かれることになると思われる。制作にあたっては、アニエッリの親族からも聞き取りを行なったという。また、彼の孫のジョン・エルカンには、放映前に試写テープを渡すことを約束しているそうだ。

いっぽう、この企画とは別に、イタリア公営放送RAIでもアニエッリの人生をドラマ化する企画が始動しているという。おりしも4月20日、ジョン・エルカンがフィアット会長に同社史上最年少の34歳で就任することが決まり、イタリア国内で話題となった。そうしたことも後押しして、ドラマ放映はちょっとした“アニエッリ回顧”のムーブメントとなるかもしれない。

《Mari OYA》

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