【クラリオン70周年】SDD搭載・プローブ採用で使い勝手も追求した力作、Smoonavi…会田肇

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SSD採用の恩恵で、レスポンスは秀逸だ
  • SSD採用の恩恵で、レスポンスは秀逸だ
  • カーナビ評論家の会田肇氏
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車載AV機器の名門「クラリオン」は、日本で初めてカーステレオを発売するなど、自動車産業の歴史とともに歩み成長してきた。新分野へ果敢に挑むその姿勢は、車載AVの分野で常に注目される存在としてあり続けてきた。

そのクラリオンが昨年夏に発売した二つのカーナビゲーションがある。一つは、SSD(クラリオンの呼称はSDD:Silicon Disc Drive)を記録媒体に使った『Smoonavi(スムーナビ)』で、もう一つがHDDを搭載した高機能型モデル「CRASVIA(クラスヴィア)』である。この両者、一見して単なる兄弟機種に見えるが、その生い立ちや位置づけは異なっている。

使いやすさを徹底したスムーナビ、高機能を追求したクラスヴィア

「Smoonavi」は、操作系を大型アイコンで構成するなどして使いやすさを重視した新世代のメモリーAV一体型ナビとして誕生した。

注目すべきはOSを同社の国内向けナビとしては初めて「Windows Automotive」を採用したこと。これによってデータ収録の効率化が可能となり、8GBに容量アップしたメモリーに充実した目的地検索データを収録。さらに最大約1000曲の楽曲収録までも実現しているのだ。

一方の「CRASVIA」は従来型高機能HDDナビで、永年にわたって蓄積された実績がもたらす高い信頼性で成り立つハイエンドHDDナビである。街並みをリアルに描き出スクエアビューの採用などすべてにおいてハイグレード感は、まさにHDDならではの大容量がもたらしたものだ。

◆先端機能と使いやすさのバランス

さて、ここでとくに採り上げるのは新世代ナビとして登場した「Smoonavi NX609」である。209/309/609というSmoonaviラインナップでは最上位機種で、Bluetoothや4アンテナ×4チューナーによるフルセグ地デジにも対応している。

Smoonaviの特徴である親しみのあるメニューデザインは誰もが簡単に高機能が体感でき、メモリー機ながら多彩なAV機能が楽しめる。しかもBluetooth携帯電話経由でリアルタイム交通情報が反映信できる「オンライン交通情報探索」に対応を果たす。つまり、幅広いユーザーが自在に使いこなせる使い勝手の良さを実現しつつ、最先端機能によってもたらされる効率の良いルート案内が受けられるメモリーナビとして仕上がっているのだ。

インターフェイスは実に親しみの持てるものだ。指先に凹凸を感じつつボタン位置を確認できるハードキーは手探り操作を可能にするし、「バラエティスクリーン」はメニューデザインを好みに応じて変更できる。一般的に、カーナビに対する印象は操作の入口でわかるものだが、その点でも「Smoonavi」は誰もが素直に入っていけるスムーズさを実現しているのだ。また、8GB・SSDの恩恵でデータの読み出しは高速で、使っていてサクサクとした動きを感じさせる。名付けられた「Smoonavi」の愛称はこうした優しくスムーズなインターフェイスがその所以でもあるのだ。

◆8GB・SSDながら全国1171エリアの市街地図表示可能

一方で、HDDが40GBや50GBが相次いで登場する中で、この8GBの容量に物足りなさを感じる人も多いだろう。しかし、「Smoonavi」は最先端の圧縮技術によってそのハンデを微塵も感じさせない。市街地図を全国1171都市で表示可能とし、電話番号や住所、ジャンルを使ったピンポイント検索にも対応。

TV番組サーチはTV番組名から目的地が探し出せるユニークな機能として高く評価されている。その他、あらかじめ登録しておいた施設を一括して地図上に表示できる「お好み一括検索」、ジャンル検索では効率よく対象施設が絞り込める「文字抽出」機能が使える。これらの機能からは、収録したデータをしっかりと使いこなす、そんな賢さを感じさせるのだ。

◆信頼性の高い自車位置精度、今後に期待できるプローブ

その賢さはルート案内でも感じ取れる。分岐点での案内は、通常の交差点拡大図だけでなく3Dでの表示にも対応し、車線ガイドも併用してきちんと案内してくれる。道路の高低差も自動認識するので、高架道とその下を並行して走る道路への移動も問題なし。案内のタイミングが的確で、使っていてその信頼性は相当に高い。このあたりはナビシステムで長い実績をもつクラリオンならではといえるだろう。

加えて、冒頭にも述べた「オンライン交通情報探索」は、プローブによる高精度なルート探索を可能にし、VICSでは不足しがちな交通情報を補完してより緻密なルート案内を実現するのだ。しかも独自の推定補完技術によって、配信されていない道路についても渋滞情報を取得。現段階では対象エリアが東京23区内にとどまっているものの、クラリオンのユーザーが参加するに従い、対象エリアは全国へと広がっていく。今後に期待がかかるサービスと言える。

◆地デジは4アンテナ×4チューナーによるフルセグ受信

「Smoonavi」は、AV一体型ナビであるだけに、AV機能の充実ぶりも見逃せないポイントだ。地デジは4アンテナ×4チューナーによるフルセグ受信が可能で、中継局の自動サーチによって受信エリアが変わっても自動的に追従。もちろん、受信レベルに応じたワンセグ自動切り替えも行う。

普及しているMP3/WMAをはじめとする多彩なメディアにも対応し、地デジなどを録画したDVDディスクの再生も可能。iPodとの接続も可能だ。

◆“常識”に挑んだクラリオンの力作

絶対的な高性能を誇るHDDナビに対して、メモリーナビはどうしても機能限定モデルとの印象を与えがちだ。この「Smoonavi」はそうした世間一般の“常識”にあえて挑み、使いやすさと最先端を身近に感じさせながらHDDナビに迫るハイパフォーマンスを発揮するメモリーナビに仕上げられている。

なかでもこのNX609はそのトップエンドに位置するモデル。常にカーAV界をリードし続けてきたクラリオンが満を持して世に送り出した最先端と言えるだろう。

《会田肇》

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