トヨタの東京本社とお台場を往復するという試乗会では、全区間をほぼモーターだけで走り切った『プリウス・プラグインハイブリッド』だったが、先日湘南へ出かけたら別の面を見せた。
都内を抜け出す前にバッテリーを使い果たし、残りは「ちょっと重いプリウス」であり続けたのだ。重さのおかげで乗り心地は落ち着き感がアップしていたが、加速やブレーキは当然ながらフツーのプリウスのほうが上だった。
HVとEVを合体したような内容から、全能のエコカーと考える人も多いPHVだが、いままでの体験からいえるのは、得意分野とそうでない分野を合わせ持つということだ。
たとえば東京都内に住む自分は、近場の移動には電車やバスを使うし、自宅の車庫にはコンセントはないから、PHVのメリットは生かしにくい状況にある。逆に車庫事情に恵まれ、公共交通機関が未発達な地方のユーザーには、最強のエコカーになるはずだ。
地方を差別しているわけではない。これからの自動車は目的や場所によって使い分けられるべきであり、PHVは大都市よりも地方・郊外のほうが持ち味を活かせるエコカーではないかと思ったのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。