フィスカー社、GM工場を買収…プラグインHV生産へ

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米国のフィスカーオートモーティブは27日、GMのデラウェア州ウィルミントン工場を買収し、2012年後半からプラグインハイブリッド4ドアスポーツカー、『カルマ』の生産を開始すると発表した。

カルマは今年1月のデトロイトモーターショーで初公開。ハイブリッドシステムは「Qドライブ」と呼ばれ、2個の強力なモーター(403ps)によって、約80kmをゼロエミッション走行できる。2次電池は蓄電容量22kWhのリチウムイオンバッテリーで、家庭用コンセントから充電可能だ。

カルマはGMのシボレー『ボルト』と同様に、発電専用エンジンを搭載。バッテリー残量が少なくなると、GM製の「エコテック」直噴2.0リットル直4ターボ(260ps)が始動。ジェネレーターを回してモーターに電力を供給するとともに、バッテリーを充電する。これにより、最大航続距離は480kmまで伸びる。

外観はロングノーズに大胆に抑揚を効かせたボディラインが特徴。ボディサイズは全長4970×全幅1984×全高1310mmで、長くワイドながら背の低いプロポーションを持つ。アルミスペースフレームにアルミ複合素材を組み合わせたボディは軽量に仕上げられ、0‐100km/h加速6秒、最高速度201km/hのパフォーマンスを実現。SAE(アメリカ自動車技術協会)の測定方式による燃費&CO2排出量の見込み値は、28.57km/リットル、83g/kmと公表されている。

このカルマの生産拠点に関しては、GMとトヨタの合弁工場、NUMMI活用案も噂されていたが、最終的にフィスカー社は、GMのデラウェア州ウィルミントン工場を選定。同工場は「ポンティアック」や「サターン」を生産していたが、GMのリストラ策によるブランド廃止を受けて、今年春から生産を休止していた。

工場買収額は公表されていないが、フィスカー社は1億7500万ドル(約161億円)を投じて、工場の設備を改修。この費用は米国エネルギー省から受ける総額5億2870万ドル(約486億円)の低利融資の中から支出する。

フィスカー社は2012年後半から、カルマの生産をスタート。約2000人の雇用を生み、サプライヤーまで含めると、さらに3000人の雇用創出効果を見込む。カルマの価格は、米国政府による補助金や優遇税制を適用すれば、3万9900ドル(約367万円)程度の予定。2014年には、年間10万台規模のフル生産体制に移行する。

破産法が適用された巨人GMの工場を、米国新興メーカーが買収。自動車メーカーの世代交代を印象づける出来事といえそうだ。

《森脇稔》

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