【COTY09-10 選考コメント】エコドライブの世界観を広げた インサイト に10点…神尾寿

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【COTY09-10 選考コメント】エコドライブの世界観を広げた インサイト に10点…神尾寿
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  • 大賞:トヨタ・プリウス
  • 【COTY 】モーストファン賞はフェアレディZ
クルマ単体で見れば、今年のイヤーカーはトヨタ『プリウス』がふさわしい。ハイブリッドカーとしての性能やクオリティ、コストパフォーマンスという観点では、プリウスはインサイトを明らかに上まわっている。

それでも私は、ホンダ『インサイト』に「10点」を投じた。そして、プリウスは「7点」。

なぜか。それはインサイトが、プリウスとは異なるハイブリッドカーの在り方を提案し、ドライバーのエコ意識向上に貢献。さらにデザインや商品企画において、ユーザーの裾野も拡大したからだ。

とりわけ高く評価したのが、インサイトの「エコアシスト」機能。これはドライバーにエコドライブに必要な情報を提供し、エコドライブを促し支援することで総合的な燃費性能を向上するというものだ。インサイトは“ドライバーも一体となって燃費性能を向上しよう”というコンセプトで、そのために「情報」をうまく使っていた。ハイブリッドシステム単体での燃費性能向上にこだわり抜いたプリウスに対して、インサイトは「ひと(ドライバー)」もまたクルマと一体であるという意識を強く感じたのだ。

また、インサイトはインターナビの装着率が約65%もあり、エコグランプリを筆頭にテレマティクスを用いたエコドライブ支援も積極的に行っている。ICTの技術・サービスをフル活用し、ドライバーとともに「エコドライブ」を推進しようという姿勢はすばらしいと思う。

もうひとつ、デザイン性の高さとユーザー層の裾野を広げたことも、インサイトの功績だ。インサイトのデザインについては、実は私よりも妻が高く評価していた。これは数字にも表れており、ホンダによるとインサイトのオーナー層は、「30 - 40代が中心」で「女性購入比率が4割」もあるという。今までのハイブリッドカーよりも若年層・女性に売れたことは、とても重要だ。

むろん、インサイトへの不満もあった。なかでも大きかったのが、横滑り防止装置の「VSA」など安全装備の充実でプリウスより見劣りしたこと。また、インサイトのシステム燃費が2代目プリウスにも及ばなかったことだ。これらのマイナスポイントもあり、私の本音では「10点」ではなく「9点」を付けてイヤーカーに推したかったのが偽らざるところだ。

2位以下配点と選定理由は次のとおり。

●トヨタ・プリウス 7点

ハイブリッドカー、そしてクルマ単体で見れば、今年もっとも優れた1台であることは間違いない。燃費性能向上に向けたハイブリッドシステムの完成度の高さ、充実の安全装備、車室内の快適性など、総合力では今年最良のクルマである。

しかし、残念だったのは、「情報」を用いてドライバーのエコ意識を高めて、ドライバーとともにエコドライブを推進するという工夫でインサイトに見劣りしてしまったこと。今回のモーターショーで発表された『SAI』に搭載されるESPOがプリウスに搭載されていれば、間違いなく私はプリウスに10点を投じていた。

また、若年層や女性への浸透という点では、もっと努力してほしいと思う。とりわけ女性に支持されるデザイン・商品企画が弱いと感じるので、今後に期待したいところ。

●フォルクスワーゲン・ゴルフ 5点

DSI+TSIの「小排気量ターボとツインクラッチのシーケンシャルMT」の組み合わせは、テクノロジー的にすばらしい。これらはトヨタやホンダのハイブリッドシステムに匹敵する、今後のクルマを支える技術だと思う。また、今回のゴルフは走行安定性や静粛性でも優れており、全方位で隙のないクルマに仕上がっている。

唯一の不満点は、日本のエコカー減税に当初から対応できなかったこと。今後、このような地域・国ごとのエコカーインセンティブは増加するので、地域市場への適合努力をもっとしてほしい。

とはいえ、インポート・カー・オブ・ザ・イヤーにふさわしいクルマとして5点を投じた。

●三菱 i-MiEV 2点

電気自動車(EV)として完成度が高く、この分野の走り・性能における「スタンダード」となり得るクルマ。将来、三菱のEVがイヤーカーになる日も近いのではと感じた。その未来に期待して2点。

●ボルボXC60 1点

全世界標準導入となった「シティ・セーフティ」のコンセプトと、それを日本に持ち込むために行った努力がすばらしい。XC60というクルマ全体では日本ではやや大きすぎると感じたが、シティセーフティを評価して1点。

特別賞:MOST ADVANCED TECHNOLOGY
●トヨタ・プリウス

今回、完成度を高めた「THS II」と、そのほかに実装された燃費向上のための新技術。それらは世界でも飛び抜けて技術的なリードをしていると考えて、MOST ADVANCED TECHNOLOGYに推した。

特別賞:MOST FUN
●三菱 i-MiEV

ガソリン車として「楽しい」と感じた日産の『フェアレディZ』と迷った。しかし、i-MiEVはEVとして、きちんと「走る楽しさ」「操るうれしさ」を構築しており、EVは乗って楽しいと興奮させられた。次世代のクルマが楽しいと、前向きに感じさせてくれた。その点を評価し、MOST FUNに推した。

特別賞:VEST VALUE
●スバル・レガシィシリーズ

安全性能の高さや新トランスミッションによる燃費性能向上といった要素もさることながら、筆者が高く評価したのが、今回新たに設定された「SIレーダークルーズ」だ。これは高速から低速域まで利用できるACCであり、価格が10万円代に抑えられているのが特長。そして、このSIレーダークルーズを搭載すると、『レガシィ』はロングドライブで快適で、混雑時のノロノロ運転でも疲れない「万能のロングツアラー」になる。高速道路1000円時代にふさわしい1台になるのだ。こうした総合的な価値を評価し、BEST VALUEに推した。


神尾寿|通信・ITSジャーナリスト
IT専門誌契約ライター、大手携帯電話会社へのデータ通信ビジネスのコンサルタントなどを経て、1999年にジャーナリストとして独立。著書は「自動車ITS革命」「次世代モバイルストラテジー」など。専門は通信とITSビジネス。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
《神尾寿》

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