【池原照雄の単眼複眼】パーソナルモビリティは高齢化社会への視点も

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トヨタとホンダがロボットの制御技術を応用

ホンダが2足歩行ロボット『ASIMO』のバランス制御技術を応用したパーソナルモビリティの試作機『U3-X』を公開した。パーソナルモビリティ技術では昨年8月にトヨタ自動車が『ウィングレット』シリーズ3機種を発表、両社のロボット開発競争は応用技術分野でも熱を帯びてきた。

いずれもテレビ各局のニュースなどで取り上げられ、新しいモビリティがヒトの関心をいかに惹きつけるかを示した格好だ。両社のパーソナルモビリティは、センサーや制御装置(コンピュータ)、リチウムイオン電池などハイテクの塊だけに普及には多くの課題を残す。

しかし、介護や障害者の移動手段など高齢化社会でのモビリティとしても高い可能性を秘めている。健常者が乗って楽しいというだけでなく、ハンディをもった人が移動を楽しめるような視点を大事にしての開発に期待したい。

◆実用の『ウィングレット』、楽しさの『U3-X』

両方の試作機に試乗したが、移動手段としての実用度はトヨタのウィングレット、乗る楽しさはホンダのU3-Xという印象だ。ウィングレットは立ち乗り式の2輪、U3-Xは腰掛式の1輪と構造が違うが、両社がロボット開発で培ったバランス制御技術がカナメとなっているのは同じ。

本来、不安定な1輪や2輪でも搭乗者を倒れにくくし、かつ搭乗者がどの方向に移動したいかという意思を体重や重心移動によって伝達するのもバランス制御技術によるからだ。ヒト型ロボットへの開発投資が新たなモビリティの可能性を引き出したわけだ。

筆者が実用度でウィングレットが先行すると見るひとつの要素は「登坂能力」。最大登坂性能は20度を確保しており、この範囲内なら登りも下りも足置きプレートは水平状態が維持される。

◆高齢者も安心して乗れる移動手段に

U3-Xは、施設内バリアフリーの緩やかなスロープには対応できるが、登坂能力は6度程度という。一方で、U3-Xには独特の駆動方式による真横への移動や、1輪なのに自律的に「自立」するなどの特徴もある。

自立機能により、コンパクトな1輪の機動性を生かし、狭い場所でのモノの搬送にも活用できそうだ。これにモノを掴むハンドリング機能や視覚センサー(カメラ)を付けると、ほとんどASIMOの領域に近づくが、それもU3-Xの発展の1形態だろう。

2つのパーソナルモビリティに試乗して感じたのは、近い将来、身体能力が低下してきた時にも果たしてこれに乗れるかという不安だった。10年先には筆者も仲間入りしている高齢者も安心し、意のままに操れる移動手段に熟成してほしいと願う。そこに市場性も出てくる。

《池原照雄》

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