スペック表を見て、1930kgという車重にビックリしてしまった。リトラクタブルハードトップより軽く作れるソフトトップなのに、クーペより260kgも重いのだ。
でも乗ったら理由がわかった。フロアは石でできているんじゃないかと思うほど強固で、剛性不足などまったく感じない。しかもトップを上げれば静かさもクーペ並み。聞けば本国では2種類ある幌のうち、日本には快適性にすぐれたタイプが装着されるのだという。意味のある重さである。
でもそのウェイトは『Q5』よりは軽いから、3.2リットルV6による加速に不満はないし、オプションのアウディドライブセレクトを選ぶとついてくるバリアブルステアリングはクーペのそれよりクイックだったりする。
オープンカーはクーペよりユルくて当然、むしろユルさを楽しむ乗り物と思っていたが、完璧主義のドイツ人はそれを許さなかったらしい。ソフトトップを4色も用意してコーディネイトの楽しさをアピールしつつ、中身は骨の髄までゲルマン魂が染み入っていた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。