スバルが限定的な形で発売した電気自動車の『プラグインステラ』は、良く走るクルマに仕上がっていた。
信号待ちからの発進などは静かで滑らか、なおかつ速くて力強い。このあたりが電気自動車らしいところ。モーター音は聞こえるももの、エンジン音がないので室内は静かで、タイヤからのロードノイズが一番大きい。加速は滑らかというか、一直線に伸びていく感じがある。電気モーターはガソリンエンジンと違って発進してすぐの状態から最大トルクを発生することができるので、停止状態からの加速がとても元気が良い。
電気自動車は重量が重くなるが、重さを問題にしないような元気の良い走りを見せる。街中から首都高での走りまで、普通のクルマに伍して走れるというか、普通のクルマ以上にスムーズに走らせることができる。重い電池が低い位置に搭載されているので、走りの安定感の高さも上々のレベルだ。
問題は航続距離。純粋なシティコミューターを基本コンセプトとするプラグインステラは10・15モードで90km程度の航続距離とされているが、エアコンを使っただけで航続距離はグンと短くなる。今回の取材でも60kmほど走ったら電池はほぼ空になった。一般的な軽自動車の使い方はカバーできるものの、それを超えるような使い方(遠出)はできない。航続距離にはもう少し余裕が必要だろう。
現在は、まだ価格が高すぎるし、一般向けに販売の予定は示されていないが、三菱『i-MiEV』と同様に電気自動車の時代が近づいたことを示すクルマだった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。