【池原照雄の単眼複眼】暫定税率廃止でエコカー減税は風前のともしび

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3か年の計画でスタートしたが…

2週間後には民主党政権が発足、マニフェスト(政権公約)の実現に向けた2010年度予算編成が概算要求段階から再スタートする。マニフェストでは10年度からの旧道路特定財源の暫定税率廃止がひとつの柱となっている。

自動車ユーザーには歓迎すべきことだが、暫定税率の廃止に伴い、今年度から3年間の計画で現与党が導入したエコカー減税の存続は微妙になる。近々に新車購入の計画がある人は、総じて今年度内が“買い時”ということになりそうだ。

暫定税率が廃止されるのは、従来、道路整備のための「道路特定財源」としてクルマや燃料に課税されてきた税金。今年度から使途を限定しない一般財源となったものの、割高な暫定税率のまま課税されている。

クルマへの課税としては購入時の自動車取得税、購入時および車検ごとに徴収される自動車重量税の2つがある。また、燃料には揮発油税や地方道路税などが課税されている。

◆「暫定廃止」で重量税は6割の減税

民主党がマニフェストに沿って10年4月からこれらの暫定税率を廃止して本則税率に戻すと、取得税は4割(軽自動車は変わらず)、重量税は約6割の減税となる。また、ガソリンは揮発油税と地方道路税を合わせて1リットル当たり約25円が減税される。

暫定税率の廃止に際して、注目されるのが今年4月から経済対策の一環として実施されているエコカーへの減税と補助金の扱いだ。いずれも暫定税率が適用されている取得税と重量税を対象に、新車購入時に減免税の適用や補助金の支給が行われている。

このうち、補助金については今年度末(10年3月末)までの措置として実施されているが、エコカー減税の実施期間は3年間ということで導入された。だが、政権交代により「3年間」の約束は微妙になってきた。

◆エコカー減税対象車は今年度内が“お得”

税制問題に詳しい自動車業界関係者は、暫定税率が廃止されれば、2010年度以降のエコカー減税の継続は「極めて厳しいのではないか」と見ている。暫定税率の廃止による減税額は年2兆5000億円(燃料課税分含む)に及ぶ。

そのうえで、エコカー減税継続となれば、さらに財源の手当てが必要となるが、財源は民主党のマニフェスト実現で、もっとも不安視されるところである。

仮にエコカー減税が今年度限りとなれば、新車購入時の取得税と重量税が免税になっているハイブリッド車(HV)やクリーンディーゼル車など、あるいは75%の減税が適用されるガソリン車は減税幅が縮小されることになってしまう。

すでに年度内の納車が間に合わないトヨタ自動車の『プリウス』については如何ともしがたいが、他のHVや75%減税の対象車は、エコカー減税も補助金もある今年度内の購入(登録)が圧倒的に“お得”となろう。逆にエコカー減税や補助金の対象から外れるスポーツカーなどは、来年度の暫定税率廃止を待つ方が得策だ。

暫定税率廃止とエコカー減税との比較

●自動車取得税
暫定税率廃止による減税率:一律40%(※)
エコカー減税での減免税率:燃費性能などにより50%、75%、免税
●自動車重量税
暫定税率廃止による減税率:一律約60%
エコカー減税での減免税率:燃費性能などにより50%、75%、免税

※取得税について、軽自動車と営業用車は暫定税率ではないので減税はない。

《池原照雄》

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