【池原照雄の単眼複眼】水面下で進むトヨタ、ホンダの燃料電池車市販レース

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10年代半ばに“売り切り”目指す

ハイブリッド車(HV)で攻防を続けるトヨタ自動車とホンダが、近未来のエコカーと目される燃料電池車(FCV)でも技術開発にしのぎを削る展開となっている。

両社とも2010年代の半ばごろには、現行のリース方式ではなく売り切りでの市販化を目指す。当面はHVの車種拡充に全力を挙げる両社だが、次世代の環境技術でも「先着」を競い、アドバンテージを確保する狙いだ。

トヨタの豊田章男社長は今月5日、米ミシガン州で開かれた自動車産業の国際会議で講演し、FCVについては今後6年くらいの間にリーズナブルな価格で提供する方針を表明した。6月の株主総会では瀧本正民副社長(当時)が、株主の質問に同様の意向を回答しており、トヨタでは2010年代の半ばが本格的な市販開始のメドとなってきた。

◆1000万円切ればプレミアムカーと競合可能

一方のホンダも同様の時間軸で、売り切りによる市販を視野に入れている。同社は2007年に最新モデル『FCXクラリティ』を発表した際、10年以内での「脱リース」による市販を社内目標に掲げた。当時、福井威夫社長(現取締役相談役)は「1000万円を切れば、他社のプレミアムカーとも十分競合できる性能を備えている」と語っていた。

6月に就任した後任の伊東孝紳社長も「インフラの問題もあるのですべてFCXでとはいかないが、米国では力を入れていく」と、前社長の方針を踏襲して早期の本格市販を目指す方針だ。

昨年夏から日米でのリース販売を開始したFCXクラリティは、当初3年で200台の普及を目指す準量産レベルにステップアップした。米国では水素供給インフラが充実しつつあるカリフォルニア州で、個人向けのリースも増加している。

◆日本でも水素インフラ整備の動き

インフラ整備は今後、日本でも着実に進む見通しだ。今月4日には、新日本石油や東京ガスなど石油元売りや都市ガス大手が中心となって、FCVへの供給実用化を狙った「水素供給・利用技術研究組合」を発足させた。全国数十か所に供給ステーションを設置して2015年度まで実証試験や研究に取り組む。

水素ステーションは現在、首都圏を中心に全国で20か所程度だが、この実証試験で供給拠点は倍以上に増加する見込み。トヨタとホンダが売り切りによる市販化を目指す時期には一定の水素供給インフラが整う。同組合には今後、自動車各社も参画する方向だ。

今世紀初頭には、FCVのリース販売で「世界初」を競ったトヨタとホンダは、結局2002年末に日本政府などにそろって納車し、「同着」となった。両社は、1000万円を割る価格への到達を目指し、再び水面下で開発競争を演じる。

《池原照雄》

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