ホンダは現在、セダンの新しい骨格を提案している。本田技術研究所、常務取締役兼四輪R&Dセンターデザイン開発室室長の海老澤伸樹氏はその特徴を2つ挙げている。
そもそもは、2002年に社内で先行検討した、次のセダンの骨格を作ろうという『Next』プロジェクトだという。
「セダンは普通3Boxでないとセダンに見えないので、非常に難しいデザインを要求されるわけです。基本的にはロングホイールベースにして、キャビンを前進させてMM(Man Maximum Mech. Minimum)を極めるようにやっていきたいということです」
もうひとつは“台形骨格”からの脱却だ。従来は、横に並ぶ乗員を車体中側(センターコンソール側)に配置することで、クルマの横断面を台形にして安定感を表験していた。
「Nextではサイドウインドウを立て、人を離しました。中をとにかく広くしよう、そして中の広い空間が外観に現れているという考え方です。それが新しい骨格にならないか、というのがNextのモノフォルムです」
「このNextの骨格が2005年の『シビック』などで量産化されました。さらにNextをベースに、(エンジンがないので)フロント部分でキャビンとボンネットが融合したような格好で進化させた骨格が、05年の東京モーターショーに出した『FCX』となるのです」