ボルボがプレミアム・コンパクト・クロスオーバーと呼ぶモデル。『XC60』の60という数字が示すように、ボルボのラインナップの中間に位置するが、比較的コンパクトなのは全長(4630mm)だけで、1890mmの全幅や1930kgに達する車両重量はかなり大きくて重い。
外観デザインはボルボの新しいアイデンティティを表現すると同時に、クーペ風のスタイリッシュなアッパーボディとSUVらしい力強いロアボディを組み合わせたもの。新鮮な印象と存在感を感じさせている。
210kWに達する3.0リットルターボの動力性能は、重量級のボディに対しても余裕十分。重さを意識させず軽快ささえ感じさせる走りを見せる。足回りはしっかりした感じの乗り味を確保しながら、乗り心地の良さも失っていない。それなりにバランスの取れた足回りだ。
ボルボらしく注目されるのは安全装備。「シティ・セーフティ」と呼ぶ低速走行時の衝突を回避・軽減する世界初の安全装備が全車に標準で設定されている。ほかにも「アダプティブ・クルーズコントロール」や「レーン・デパーチャー・ウォーニング」など、最新の安全装備が割安なセットオプションの設定だ。
599万円の本体価格はライバル車となる『X3』や『Q5』を意識しつつ、それらのモデルに対して割安感を感じさせる水準に設定されている。充実した快適装備を含めて考えると、ますます競争力のある価格設定といえる。
●5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。