【中国 次世代トヨタ】最適な在庫管理を実現する配車センター

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3店舗の在庫を集約

広汽トヨタでは、SLIM(Sales Logistics Integrated Management)の導入により在庫管理が最適化されているが、工場から各店舗への中継地点として効率的なディストリビューションを支えているのが配車センターだ。

広汽トヨタ長凱白雲店に隣接された広大なスペース。ここは同一資本が経営する3店舗分の在庫を持つ共同新車センター(配車センター)である。百数十台はあろうかという『カムリ』と『ヤリス』が保管されているが、いったん配車センターに車両をプールするのはなぜか。

「以前は各店舗のヤードですべての在庫を保管していましたが、店舗スペースに収まりきらず、また店舗内外の何箇所にも分散されて置いており、先入れ先出しの原則も守られない状況でした。さらに増え続ける在庫のために通路まで塞いでしまうこともありました。この状況を解消するために、配車センターに各販売店の在庫車両を集約し、共同新車センターとして運営を始めました」(長凱白雲配車センタースタッフの羅楊紅氏)。

今後はこの配車センターに修理工場を併設し、ディーラーの工場では対応不可能な大ダメージ車の修理をここでおこなうという。

◆在庫車を「ヤードかんばん」で管理

3つの販売店の新車を混載した積載車は広汽トヨタの工場から運ばれてくる。ヤードは第一店・長凱白雲店・長寧会展店それぞれの店舗別に配置場所が決められており(長凱店・長寧会展店の配置場所は一部共用)、店舗ごとの在庫が把握できるようになっている。

工場からの車両を降ろした積載車は工場へ回送されるが、この帰り便を利用してセンターの在庫車両に載せ替え、各販売店に必要な車を店舗へ移送した上で広州トヨタの工場へと戻る。配車センター隣接の修理工場が完成したのちには、修理が終わった大ダメージ車両も新車と混載して各販売店に運ぶ予定だという。「帰り便をうまく使うことで輸送コストを低く抑えられ、自走に比べて安全性も向上します」(羅氏)。

ヤードは、大きく2区画に整備されており、それぞれAからF、GからIの小区画に分かれて車両が配置される。すべての区画を合わせると最大542台の車両が保管可能だ。

広汽トヨタでは配車センターの車両を「ヤードかんばん」で管理する方式をとっている。ヤードかんばんは、車両の保管位置を示すヤード番号とVINナンバー情報とヒモづけるためのバーコードが記載されたカードだ。店舗別にカードは色分けされており、各店舗ごとの在庫管理ポストに差し込まれている。店舗ごとの在庫管理ポストはさらに入庫30日以内/60日以内/60日以上という3つに分けられており、おおよその在庫車両の鮮度が把握できるようになっている。また、キーは紛失・盗難を防ぐために専用の管理ボックスに保管される。

◆広汽トヨタで配車処理をリアルタイムに把握

入庫時は、保管したヤード番号のヤードかんばんを取り出し、PCにバーコードを読ませてVINナンバーを登録。ヤードかんばんに車両に備え付けの車両管理票を挟み込み、在庫管理ポストに差し込む。配送時は、在庫管理ポストから該当車両のヤードかんばんを探してPCから配送入力をおこない、これで配送票を出力する。印刷された配送票はキーと一緒に配送指示ポストに入れ、ヤードかんばんは空きヤード管理ポストに戻すという流れだ。入庫、配送待ち、出庫完了の都度にSLIMに接続されたPCでバーコードによるステータス処理をおこなっており、在庫の流れはリアルタイムにトラッキングできる。

センターには、自社販売店の仕様別在庫数とそのステータスをモニターで表示する電子ボード「IMS(Inventory Management System)」が設置されており、配送先販売店の在庫状況が随時確認できる。広汽トヨタでは配車処理をリアルタイムで確認しているので、不人気仕様が販売店へ運ばれ過ぎないように調整しているという。

配車センターを持つことによるメリットとして、羅氏は「配車センターを持つことで複数の販売店と同じ在庫情報を共有でき、販売店からの問い合わせに迅速に対応できます。また、法人客の一括注文が入り、特定の仕様在庫が不足した場合など、配車センターがあれば各販売店間で車両の交換も容易になります」と説明する。同一資本で運営する配車センターゆえ、店舗間の配車変更にも柔軟に対応できるという。

◆工場の在庫管理方法を応用

「この配車センターでおこなっている在庫管理は、日本国内のトヨタ工場のヤードで一般的に実施している方法ですが、これを販売店でやっているところはありません。広汽トヨタではこの仕組みを全販売店へ導入していきます」(広汽トヨタ総経理助理の友山茂樹氏)。

すべてを電子化せずにヤードかんばんという“実体物”で管理するところがトヨタらしい。友山氏は「こういう“泥臭い”仕組みも必要」と語るが、受注状況によって在庫車のステータスがさまざまに変化する配車センターでは、PCの画面上ではなくヤードかんばんで管理する方法が理にかなっているという判断なのだろう。

複数販売店の在庫をひとつの場所に集約することで配車管理を容易にすると共に、店舗の過剰在庫を防ぐための調整弁としての機能も持たせ、移送コストの削減につなげる。まさに一石三鳥の妙案だが、これも生産から納車までのトラッキングを貫徹できるSLIM(およびその店舗側システムであるIMS)あってのなせる業といえる。

《北島友和》

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