ダイムラーは8日、開発中のメルセデスベンツ『SLS AMG』の内装写真と外観イメージスケッチを公表した。航空機のコクピットをモチーフにしたインパネは、メルセデスのスポーツカーの今後の方向性を示している。
SLSはメルセデスの名車、1954年発表の『300SL』を、現代の技術で甦らせたスポーツカー。デザインからメカニズムまで、AMGが一貫して開発を手がけた最初のモデルで、300SLの特徴的なガルウイングドアも受け継がれている。
エンジンは『63AMG』シリーズでおなじみの6208ccV8。しかし、ドライサンプ方式やマグネシウムインテーク採用などの専用チューンを受け、最大出力571ps/6800rpm、最大トルク66.3kgm/4750rpmを発生する。
エンジンは低重心化のため、フロントアクスル後方の低い位置、フロントミッドシップにレイアウト。トランスミッションはリアアクスルに配置するトランスアクスル方式とした。トランスミッションは、AMGが新開発したデュアルクラッチ7速2ペダルMT、「AMGスピードシフトDCT-7」である。
SLSはオールアルミスペースフレーム構造を採用。ボディにもアルミがふんだんに使用され、トータル重量は約1620kgに抑えられた。前後重量配分は48対52と理想的。0-100km/h加速3.8秒、最高速315km/hという圧倒的パフォーマンスを身につけている。
今回、初公開されたインテリアは、航空機のコクピットがモチーフ。「Eセレクト」と呼ばれるシフトレバーは操縦桿を思わせる形状で、インパネのベンチレーションは、航空機のエンジンをイメージさせる。
シートやドアトリム、アームレストにはハンドメイドで縫製された「デジーノ」レザーを採用。上質なナッパレザーが使われ、カラーはブラック、クラシックレッド、サンド、ライトベージュなど5色を設定した。ピラーやルーフライニングは、アルカンターラ張り。装飾パネルはシルバーのメタルパネルが標準だが、オプションでカーボンパッケージも選択できる。
直径365mmの「AMGパフォーマンスレザーステアリングホイール」は、パドルシフト付き。3本スポーク&フラットボトムデザインだ。メーターは360km/hスケール。シフトアップインジケーターには7個のLEDが使用されている。
オーディオはデンマークの「バング&オルフセン」製。ドルビーデジタル5.1チャンネル仕様で、システムは1000Wアンプ、250Wサブウーハー×2、11スピーカーなどで構成。ナビゲーションやDVDなどが楽しめるマルチメディアシステム「コマンドAPS」も設定される。
サイドのサポート性を高めた専用スポーツシートは、地上高369mmとスポーツカーらしい低さ。ガルウイングドアは70度の角度で上方へ開き、開けた時の高さは1500mmに達するという。安全面では、シート内蔵サイドエアバッグ、ニーバッグ、ウインドウバッグと合計8個のエアバッグが装備される。
SLS AMGは、9月のフランクフルトモーターショーで正式発表され、2010年春に発売される見込み。インテリアの写真や外観イメージスケッチから判断すれば、メルセデスのスーパーカーにふさわしい内容を秘めているようだ。