【神尾寿のアンプラグド特別編】“ケータイかざしてゲット”、拡がるデジタル地図サービス

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初めての駅で降りたとき、周辺案内地図から目的地を探す人も多いのではないだろうか。近ごろの周辺案内図は地図の大きさが拡大し、精細さも増して情報量が増えている。特に都市部では、なくてはならない存在だ。

この周辺案内図が、非接触IC「FeliCa(フェリカ)」とネットサービス連携で進化。駅利用者の利便性向上はもちろん、新たな広告ビジネスとしての模索が始まっている。そこで今回のアンプラグドは特別編として、JR東日本企画と表示灯が投入する新たな表示案内サービス「ナビタッチ(Navita with SuiPo)」の可能性を見てみたい。

◆おサイフケータイで「デジタル地図」を持ち出す

JR東日本が展開する交通IC/電子マネーサービス「Suica」。これを利用し、新たな交通広告サービスとして展開しているのが、JR東日本企画が展開する「SuiPo(スイポ)」である。

SuiPoは、Suica用リーダー/ライターを備えたポスターで、SuicaやPASMO、あるいはモバイルSuicaをかざすと、携帯にポスターに関連する情報(キャンペーン情報やクーポンなど)が送られてくる。若年層やビジネスパーソンを中心に“テレビ離れ”や“CMスキップ視聴”が拡大する中、首都圏の電車や駅を使った交通広告市場が急拡大。SuiPoはその中で、新たな交通広告商品のひとつとして注目されている。

今回、取り上げる「ナビタッチ(Navita with SuiPo)」は、このSuiPoの発展型サービスとして、今年4月1日から首都圏主要駅に設置されている。現在は東京駅、新橋駅、品川駅、秋葉原駅の4駅に展開中であり、「今後は首都圏ターミナル駅を中心に設置場所を拡大する」(JR東日本企画)予定だ。

ナビタッチの本体は光源にLEDを用いた最新型の表示案内図である。これはJR東日本が現在積極的に展開している大型・高輝度タイプであり、地図の横におサイフケータイをかざすSuiPo用リーダー/ライター(IC読み取り部)が設けられている。ナビタッチの利用時、おサイフケータイ側での初期設定は必要ない。ユーザーが自分のおサイフケータイをナビタッチのリーダー/ライターにかざすと、地図サイトにアクセスするためのURLが送られてくる。そのサイトに接続すると、周辺案内図の位置を起点として「駅周辺の地図」がケータイで見られる仕組みである。周辺案内図の地図を、そのままケータイに持ち出せる感覚だ。

「(ナビタッチは)簡単に誰でも使えるものにしたかった。おサイフケータイはすでに広く普及していますので、これを“かざす”だけで利用できるようにしました」(JR東日本企画交通媒体局媒体開発部部長の山本孝氏)

ナビタッチは新型周辺案内図とのセットで導入されるものだが、FeliCaのユニットは従来型のSuiPo用を流用。変更点はソフトウェアの改修にとどめるなどして、低コスト化も図ったという。

◆周辺検索から地図ナビまで。広告連動で収益

ナビタッチ経由でアクセスする周辺地図サービスは、広告会社である表示灯が運営していた「Navita」というサービスがベースになっている。同サービスでは駅周辺の地図を表示するほか、周辺のエリア広告も掲載。ナビタッチで提供するケータイ向けの周辺地図に、検索連動広告やバナー広告などを組み込むことで新たな広告ビジネスを狙っている。

「当初は(駅設置の)周辺案内図の広告枠と連携して、地図サービスにも広告をいれていきますが、将来的にはケータイ向け(の地図)だけの広告も増えていくでしょう。駅の周辺案内図の広告でみれば、常に15〜20社くらいのクライアントがあり、広告掲載期間が最低でも1年、それ以上の掲載期間になることも少なくない」(山本氏)

ナビタッチの地図サービスでは、地図の拡大縮小やスクロールが可能。周辺の施設検索や目的地検索、さらには地図上に経路を矢印で描く「地図ナビ」機能も用意されている。また、検索した目的地が駅から離れていた場合は、最寄り駅までの電車の乗り継ぎも案内する「乗り換え案内機能」も用意されている。なお、地図の利用料は無料だが携帯電話のパケット通信料は別途必要になる(パケット料定額プランを推奨)。

筆者も実際に利用してみたが、検索の精度や地図ナビの表現力は高い。ナビタッチの地図ナビはナビタイムジャパンのASPサービスを利用しており、使いやすさや精度の高さは折り紙付きだ。なお、ナビタッチの地図サービスはあくまでWebベースなので、携帯電話のGPS機能を使った歩行者ナビゲーション機能は用意されていない。とはいえ、起点が「駅の案内図から」とはっきりしているので、地図ナビだけでも十分に実用的だと感じた。

◆首都圏だけじゃない。おサイフケータイ+デジタル地図のサービス

おサイフケータイを端末として使い、FeliCaとデジタル地図を組み合わせたサービスがあるのは首都圏だけではない。地方でも様々な形で、FeliCa+デジタル地図サービスの活用が始まっている。

例えば、愛媛県松山市では、市の観光振興施策として「まつやまインフォメーション」というシステムを2006年から設置。市内13ヶ所に置かれている。

「まつやまインフォメーション」には登録制の広告・クーポン配信など複数のサービスがあるが、その中のひとつとして“おサイフケータイ向けのナビ/情報サービス”が用意されている。利用方法はナビタッチと同じで、まつやまインフォメーションのリーダー/ライターに、ケータイをかざすだけだ。すると、松山の観光情報を集めたポータルサイト「MATSUYAMA ハイクナビ」のURLが送られてくる。

このポータルサイトでは、おサイフケータイをかざした場所周辺の観光スポットや飲食店など店舗情報はもちろん、電車・バスの時刻表検索や天気情報などが調べられる。伊予鉄道のリアルタイム運行情報「いつくる」にもリンクしており、電車・バスが“あとどれくらいで到着するか”もわかる。筆者が試したのは実証実験の段階だったが、コンテンツやサービスはかなり充実していた。

◆FeliCaをトリガーにデジタル地図を使いやすく

ケータイを使ったデジタル地図のサービスは、以前からKDDIの「EZナビウォーク」やナビタイムジャパンの「NAVITIME」など複数のサービスが存在した。しかし、これらは携帯アプリベースのサービスであり、地図の呼び出しや起点設定などが、初心者にはやや敷居が高かったのも確かである。

今回、紹介したナビタッチなど、FeliCaをトリガーにした“リアル連携型”の地図サービスは、地図の呼び出しや起点設定が、おサイフケータイを「かざすだけ」と単純な操作方法で実現している。その上で、広告やクーポンなどをデジタル地図と連携させる仕組みも持っている。ケータイ向けのデジタル地図がコンテンツや広告ビジネスの「メディア」になる中で、これらは非常に興味深い取り組みといえる。

《神尾寿》

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