不起訴不当議決の出た3年前の事故、略式起訴へ

自動車 社会 社会

2005年11月に熊本県熊本市内で発生した交通死亡事故について、熊本地検は16日、25歳の男を業務上過失致死罪で熊本簡裁に略式起訴した。昨年7月に熊本検察審査会によって不起訴不当の議決がなされており、これを受けて再捜査していた。

問題の事故は2005年11月20日未明に発生した。熊本市新屋敷1丁目付近の県道で、道路を横断していた33歳(当時)の男性が乗用車にはねられ、収容先の病院で死亡。クルマを運転していた男は業務上過失致死容疑で書類送検されたが、検察は死亡した男性が横断禁止箇所で横断していたことを重視。「歩行者がいることは予見不可能で、衝突は回避不能だった」として、2006年12月に男を嫌疑不十分で不起訴とした。

だが、死亡した男性の遺族は「運転していた男は事故直後から速度違反や前方不注意の過失を認めていた」として、不起訴不当の申し立てを熊本検察審査会に行っていた。同会は「運転者が前方を注視し、速度超過を行っていなければ、横断禁止場所であったとしても事故を回避することができた可能性が高く、初動捜査においてアルコール濃度のチェックを行わなかった捜査体制にも疑問が残る」として、2007年7月に不起訴不当を議決していた。

検察はこれを受けて再捜査を開始。その結果として「クルマを運転していた男には速度違反や前方不注意が認められる」と判断。業務上過失致死罪で熊本簡裁に略式起訴された。飲酒運転については事故直後のアルコール検知が行われておらず、飲酒運転を示す客観的証拠が無いことから触れられていない。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集