トヨタ『RiN(りん)』は、同社が提唱する革新的な4つのクルマ作りのうち、「乗れば乗るほど健康になるクルマ」の実現を目指して作られた提案型のコンセプトモデルだ。
「“走れば走るほど空気が綺麗になるクルマ”、“無給油でアメリカ大陸を横断できるクルマ”、“決して事故を起こさないクルマ”、“乗れば乗るほど健康になるクルマ”と、当社社長の渡辺は、クルマ作りについて4つの目標を掲げました。そのうちもっとも難しいのが、乗れば乗るほど健康になるクルマでした」と企画を担当したBR企業価値開発室主幹の谷口覚氏は語る。
確かにクルマに乗るという行為は、運動の機会を奪うことにつながる。といって、車内で無意味に運動をさせるジムナスティックなクルマにするのも馬鹿馬鹿しいだけだ。
「そこで目をつけたのが、健康は身体だけではなく、精神のありようも需要だということでした。乗ることで心美しく、健やかな生き方ができるようになるようなクルマを作ることが、健康車という難しい命題へのひとつの回答案となりうるのではないかと考えたわけです」(谷口氏)
RiNのボディサイズは全長3250×全幅1690×全高1650mmの5ナンバーサイズ。とくに全長は現行の軽自動車よりさらに短い。エクステリアは、樹齢7000年にも及ぶ神秘の古木、そびえ立つ屋久杉をイメージしたもの。ウインドやランプ類は、自然との調和を感じさせる緑色を基調としている。
インテリアは4本の柱で守られた円柱形のカプセル空間に、大地から芽生える新芽をイメージしたシートを配置。配色も肌を綺麗に見せるベージュと濃いグリーンのハイコントラストカラーとし、凜とした健やかな心を育む空間作りを目指したという。ステアリングに電極を仕込み、ドライバーの心電から心理状態を分析し、メーター内にビジュアル表示するなど、自分の心を知る工夫が盛り込まれている。