「鉄道博物館」が開館…実物車両など豊富な展示

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「鉄道博物館」が開館…実物車両など豊富な展示
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10月14日は明治5年に日本で最初の鉄道が新橋(現在の汐留)と横浜(同・桜木町)の間を走ったのを記念した「鉄道記念日」。その14日に、鉄道の歴史とその仕組みや実物車両などを展示する、国内最大級の「鉄道博物館」が埼玉県さいたま市内に開館した。

そこで鉄道の発祥から現在までを紹介した、鉄道博物館の概要と展示内容に迫ってみよう。

JR大宮駅の北側約1kmの東北・上越新幹線沿いに位置する博物館は、同駅から発車する埼玉新都市交通ニューシャトルで1駅めの鉄道博物館駅(旧:大成、おおなり駅から改称)で下車。改札を出ればそのまま博物館のエントランスとなる。建物外観は次世代新幹線を形とった流線型の3階建てで、屋根の部分が大型ドーム並みの吹き抜け構造となっている。

延べの床面積は2万8200平方メートルで、昨年閉館した「交通博物館」(東京都千代田区神田須田町)の約8倍の敷地と2倍の展示スペースを誇る。展示内容は大別して“ヒストリーゾーン”と“ラーニングゾーン”の2ブロック。そして屋外展示物なども含め、6つの展示エリアから構成される。入場は駅と同じ自動改札口を利用。ふだんJR東日本線を利用するSuicaの利用も可能となっている。

まず館内右手に向うと、新橋・横浜間を最初に走った1号機関車と木製客車、新橋駅ホームが出迎えるヒストリーゾーンの中心に。その周辺には明治から大正、昭和の時代に活躍した電車や気動車(ディーゼルカー)、客車、機関車などが展示。そして新幹線車両、御料車も含めた35両の実物車両が、操車場の雰囲気そのままで展示されているのが特徴となっている。

その中でも圧巻なのが、展示車両の中央に設定された転車台とその上にのる「C57」形式蒸気機関車。客車用の機関車ならではの端正なカタチが鉄道ファンに人気。時間ごとの解説と転車台が回転する仕掛けとなっている。同時に来場者を驚かせたのが、館内一杯に鳴り響く汽笛の凄さ。交通博物館時代ではなかった出し物に、子供ならずとも感激しそうだ。

実物車両を間近にするのも良いが、2階の回廊エリアから眺めるのもドーム型博物館ならではの壮観な観覧スタイル。C57の汽笛も、違った印象で聞くことができる。この回廊は半分が外を走るJR高崎線を眺めるウインドと、反対側には日本の鉄道史に因む年表や資料の展示エリアとなっている。駅名のプレートはじめ、特急などのヘッドマークや車両の模型などが年代ごとに並んでいるので、来場者それぞれの世代で想い出がよみがえりそうである。

いまひとつの展示エリアとなるラーニングゾーンは、入り口の左手側に。鉄道の原理や仕組み、それに関係する分野の理解を深めてもらおうというゾーンであり、世代を問わず鉄道全般の理解を深めるゾーンとして、何回来てもおもしろそうである。とくにこれから社会の担い手となる子供たちや課外授業の場として、体験を通じた鉄道全般に関する学習の場を実現している。

その典型がHOゲージサイズによる、レールの総延長1400mにも及ぶ模型鉄道ジオラマである。一部の列車にはCCDカメラも装備され、リアルな走行画面を見ることができる。階段状の観覧席は210席収容で、どの席からも見やすいのが特徴なので、実演時間を確認のうえ楽しみたい。

そして大人もはまってしまうのが、シュミレータホールでの運転体験。新幹線や「D51」機関車など計5つの運転が体験できるので、ぜひとも挑戦したいもの。しかも画面の内容に応じて運転台も振動するなど、リアルな体験ができて興味深い。

屋外展示となるパークゾーンに目を移すと、JR東日本で走る車両を模した1周300mのミニ列車運転が体験できる。遊園地のミニ列車と異なるのは信号システムに従って進むので、勝手な運転をすると自動列車停止装置が作動して、ミニ列車は停止する仕組みになっている。

その他、屋内展示エリアと結ぶ、新幹線車両のミニシャトル、鉄道に関係する機器などを収集したコレクションホール、さらに鉄道関連の映画などを上映する鉄博ホール、列車食堂のメニューを再現したレストランやショップも備わる。幼児同伴のファミリーにはキッズルームや、身障者のための配慮や設備も完備している。

ところで展示内容の多くは、前身であった交通博物館から移籍されたものの、実物車両の展示例に見られるように、そのほとんどがJR東日本に関係する展示や内容となっているのが特徴。これは国鉄の分割化による結果であり、日本全国の鉄道展示となっていないのが、少々寂しいものがある。

加えて交通博物館に展示されていた自動車やバス(国鉄バスの1号車は実物展示)はじめ、船舶関係(青函連絡船関係は模型などで展示)、航空機分野は、今回“鉄道に特化”したこともあり残念ながら本博物館には展示されず、別途収蔵庫に眠っているとのことである。いつか特別展示となるとか、あるいはそれぞれに関係する博物館に譲渡されるかは決まっていないという。とにかく鉄道博物館を運営する東日本鉄道文化財団の柔軟な判断を期待して、多くの交通関係遺産を大事に残したいものである。

それにしても開館初日の14日から当分は、混雑が予想されるので、平日や時期をみての来館が望ましいようだ。

博物館情報
●開館時間:10時00−18時00分
入館は17時30分まで
●休館日:毎週火曜日および年末年始(12月29日−1月2日)
ただし本年12月28日までは無休
●入場料
大人:1000円
小中高校生:500円
幼児:200円(3歳以上未就学児)
●所在地:さいたま市大宮区大成町3丁目47番
●交通機関:JR大宮駅より埼玉新都市交通ニューシャトルで、鉄道博物館駅下車すぐ。有料駐車場はあるが当分混雑が予想されるので、公共交通機関の利用が望ましい。
●HP http://www.railway-museum.jp/

《浜田拓郎》

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