【ITS世界会議07】途上国で初めての開催、北京会議の意義

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10月9日、中国の北京展覧館で第14回ITS世界会議が開催された。今回は「“ITS for a Better Life” 智能交通創造美好生活」がメーンテーマとなり、世界各国のITS関係者が一堂に集まった。会場の規模や出展社数は昨年のITS世界会議・ロンドンを上回り、モータリゼーションの途上にある中国市場とITSに対する期待からか、例年にもまして会場には活気があふれていた。

◆“中国におけるITS世界会議”の意義

9日に行われた開会式では、各国の政府関係者やITS関係者が次々に壇上にあがり、“中国におけるITS世界会議”の意義について述べた。

「ITS世界会議が途上国で開催されるのは初めてであり、今回の北京開催は、ITSが中国やアジアで普及する上で大きな励みになるものです。

2006年、中国の高速道路は世界第2位の総延長距離に達しており、2007年には北京市内だけでクルマの数が300万台を突破しました。中国では自動車市場が急速に拡大していますが、これは大量の化石燃料を消費し、インフラ整備のリソースを必要とし、さらに温室効果ガスの排出量も増えていくということを意味します。中国にとって環境問題への取り組みは大きな責任になっていますが、ITSは効率的な自動車交通システムを構築することで、環境負荷の軽減をコスト効率よく実現します」(Gang Wan氏・Minister, Ministry of Science and Technology)

中国では2008年の北京オリンピックにおいて、「グリーンオリンピック、ハイテクオリンピック、ピープルオリンピック」の3つの指標を定めており、この基盤作りで重要な役割を果たす要素のひとつがITSだという。

また、中華人民共和国北京市人民政府副市長のLin Ji氏は開会に寄せた祝辞の中で、「交通システムの発展が近代化を図る重要な指標になっている」と述べ、モータリゼーションとITSが切り離せないものだと主張した。

「モータリゼーションによる輸送技術の発展は人々の生活を変えるだけでなく、生活の在り方も変化させました。しかし、一方でクルマは、渋滞や交通事故、環境汚染という問題が大都市で発生しています。ITS技術やクリーン車両の導入が人々の生活に必要であり、これによって持続可能な開発と環境の改善が図れるでしょう。

中国は13億人の人口を抱える発展途上国です。まだまだ発展しなければなりません。その中でクルマの普及と交通システムの拡充は重要です。中国は科学技術分野の長期的なビジョンで、ITSを重点項目のひとつにしています。ITSという科学技術のサポートを得ながら、人間中心で、(先進国のような)交通発展が必要なのです」(Lin Ji氏)

中国はこれから始まる自動車大国であり、その背後にはインドなど他のアジア各国のモータリゼーションも控えている。かつて先進国の悩みだった「渋滞・事故・環境問題」というクルマ社会の三重苦は、その規模を倍加させて新興国のモータリゼーションに降りかかる。

これまで“ビジョン”だったITSが、新興国のモータリゼーションで交通問題を回避する“ソリューション”になり得るか。

北京で開かれる第14回ITS世界会議は、それが大きく問われることになりそうだ。

《神尾寿》

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