ポルシェはレールに乗ってやってくる

自動車 ビジネス 企業動向
ポルシェはレールに乗ってやってくる
  • ポルシェはレールに乗ってやってくる
  • ポルシェはレールに乗ってやってくる
  • ポルシェはレールに乗ってやってくる

ドイツのポルシェは、ドイツ鉄道(旧ドイツ国鉄)との協力体制を拡大、フィンランドの最終組み立て工場、バルメット社への部品配送を鉄道輸送に切り替えた。26日、コルンベストハイムのコンテナターミナルからロストックへ向けて一番列車が出発した。

貨車は新開発の『メガトレーラー』を搭載、メガトレーラーには主にエンジンが積載され、バルメットで生産される『ボクスター』、『ケイマン』に組み込まれる。

メガトレーラーは車輪のついたコンテナともいえ、トラクターにトレーラーとして牽引され、そのまま専用貨車に積み込むこともできる。ポルシェの要求に応えるためドイツ鉄道の子会社レイリオン社は、関連する自動車メーカーと輸送会社と協力し、メガトレーラーに適合したコンテナ貨車を開発した。貨車は積載重量25トン、積載高さ3m。

ポルシェの生産では、南ドイツのシュトゥットガルト-ツッフェンハウゼン工場とサプライヤー工場でメガトレーラーにエンジンや部品が積み込まれ、コルンベストハイムまで道路を輸送される。コルンベストハイムからバルト海に臨むロストックまではドイツ鉄道を経由する。ロストック港からフィンランドのウーシカウプンキ港までは船便、ウーシカウプンキ港からバルメット工場までの“最終レグ”は道路である。

ボクスターとケイマンの人気は高く、毎週750台分の部品がフィンランドへ送られている。ドイツ鉄道ロジスティクス担当のノルベルト・ペンセル取締役は「ポルシェとともに、中規模企業向の需要に応じた鉄道輸送手段を開発できた。これはドイツ鉄道自身のビジネスにとっても良いことだ」と語る。

ポルシェの生産・ロジスティクス担当専務取締ミハエル・マハト副社長は「ドイツの道路網は、予想される交通量を収容できない。産業界は物流をできる限り鉄道輸送に移管しなければならない。(移管前と比べて)すでに年間のトラック輸送1万5000便・延べ走行距離2000万kmを削減した。バルメットへの鉄道輸送を開始することで、さらに7000便・500万kmを削減できる」と説明する。

2001年以来、ポルシェは調達・配送の物流を鉄道に移管し始めている。まず、いくつかの海外市場向け完成車の輸送に鉄道が採用された。コルンベストハイムで専用貨車に完成車が積み込まれ、北海に面したエムデンまで運ばれる。エムデン港から各地へ向けて船積みされる。エムデンまで来た貨車は、今度はフィンランドから船便で到着したボクスターとケイマンを積み込み、南ヨーロッパへ向けて出発する。

ライプチヒ工場での生産においても、ポルシェとドイツ鉄道は協力している。毎日1便、『カイエン』のボディシェルがコルンベストハイムからライプチヒまで鉄道輸送される。カイエンの輸出向け完成車はライプチヒからエムデンまで鉄道で運ばれる。2009年生産開始予定の4ドアクーペ『パナメーラ』では、ハノーバー(ハノーファー)のフォルクスワーゲン工場で製造されたボディシェルが鉄道でライプチヒまで運ばれ、完成車がやはり鉄道でエムデンまで輸送される。

《高木啓》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集