■UIに各社のこだわり。完成度も高い普通乗用車
さる10月12日・13日、北海道の寒地試験場にて国土交通省および国内14メーカーによる第3期ASV(ASV-3)の公開実験が行われた。今回の実験は、乗用車、商用車、軽自動車、二輪車のすべてが参加したのが大きな意義になっている。
ASV(先進安全自動車)計画は1991年からスタートしたプロジェクトであり、第3期は車車間通信を使った認知支援を特に注力。「ぶつからないクルマ」を目指している。
今回の公開実験では国内自動車メーカー14社がASV-3車両を発表し、試験場にて「混在交通」をしたのが特長だ。参加者は実際にクルマに乗り込み、作動の様子を見ることもできた。普通乗用車は完成度が高く、「これなら市販も可能なのでは!?」と感じさせられるクルマもいくつかあった。
■日産自動車…一見すると市販車
その筆頭が日産自動車のASV-3である。日産では車車間通信を用いた認知支援の中でも、特にUI(ユーザーインターフェイス)にこだわり、実際に使われているカーナビゲーションのシステムをベースに開発されていた。実験車両にありがちな支援PCや配線の類もなく、一見すると市販車である。違いは屋根に取り付けられたDSRCのアンテナくらいだ。
車車間通信を使った検知では、まずカーナビ上のアイコンを車型別にアイコン化している。交差点などで車両や二輪車が近づくとアイコンの色が黄色に変わり、画面右上にポップアップの警告が表示。そして、そのまま進もうとすると警告音とともに赤い警告マークが表示される。
「(車車間通信で)DSRCを使うメリットは現在のETCユニットとの兼用化ができること。ETCの純正装着率が上がる中で、これは普及促進とコスト削減の両方でメリットがあります。車載器も現状のカーナビをベースに開発すれば、開発期間やコストが大きくかからない」(福島正夫・日産自動車 先行車両開発本部 IT&ITS開発部 IT&ITS企画グループ主管)
むろん、DSRCには直進性が高く、見通しの悪い場所で使いにくいという周波数特性のデメリットがある。今回の実験でも試験場の複数箇所に電波中継器が設置されていた。
この点について福島氏は、「(DSRCを使うなら)路上の中継器はどうしても必要。しかし、クルマが使える周波数がDSRCしかない以上、その現実にあわせて普及を考えるべき」と語る。
我々ユーザーにしても、ETCユニットと純正カーナビを購入したら、「DSRC車車間通信システムがついてきた」というシナリオが、最も受け入れやすいだろう。
■UIに各社のこだわり。完成度も高い普通乗用車
■日産自動車…一見すると市販車
■先進性のホンダ
■トヨタ自動車の慎重姿勢
■スバルはインフォメーションに特化
■マツダは危険がなくとも注意喚起