ランエボの開発責任者である三菱自動車商品企画本部 藤井啓史さんは、「『ランサーエボリューション』のワゴンを作るからには、ランエボのイメージを落とすようなクルマにはしたくありませんでした」と語る。
「そのために、ボディを徹底的に作りこみ、ブレンボのブレーキシステムやビルシュタインダンパーなどは、セダンと同じものを使用しています。車重の違いでスプリング長などを変えていますが、セッティングはセダンと同じです」
「ワゴンのほうがリヤが重く、重量バランスに優れているので、アンダーステアは軽減されています。そのため、AYC(アクティブヨーコントロール)については採用を見送りました。それにより価格を抑えることもできました」
実際にランサーエボリューションワゴンの走りは、ランエボの名に恥じないハンドリングを披露してくれる。コーナーの進入時には、ブレンボのブレーキが確実なストッピングパワーを与えてくれ、ステアリングを切り込めばセダンのランエボと同じようにスパッとノーズがインを向いてくれる。
クルマがコーナリングを始めてから立ち上がりにかけては、多少ボディ剛性が低いこともあり、リヤの踏ん張りが効かず、オーバーステア気味になる。ただし、それはセダンのエボと比較した時の場合。ワゴンとしては、相当に高いレベルにあるし、クルマがオーバーステアになってからのコントロールも容易だ。
そして、できればディーラーオプションのリヤハイパフォーマンスバーは装着しておきたいパーツ。このパフォーマンスバーはリヤのストラットタワーバーの役目をしてくれ、リヤサス周りの剛性や乗り心地が大幅に高まるのだ。
ランサーエボリューションワゴンに乗る前は、ステーションワゴンでランエボの走りが再現できるかどうか疑問を持ったが、その心配は必要なかったようだ。