これは『マーチ』じゃない! そして、とても1.2リッターエンジンの走りではない! マイチェンした12SRは究極のFFスポーティカーだ。
2速で7300rpmのレブリミットまで気持ちよく回してからシフトアップ。タコメーターは4500rpmに舞い戻る。そこからジンワリと5000rpmへと上昇していく。そしてこの「きたぁー!」と盛り上がっていくこの感覚。なんだかとっても気持ちイイ。乗り心地も気持ちイイ。スポーティモデルなのだから、オーテック(日産直系の特装専門企業)がイジったから、かなりガチっとした乗り味を想像する。確かに硬めの足だが、コツコツと路面のギャップを拾うようなチープな真似はしていない。
コーナーに飛び込んでみる。グンッと一発で決まるブレーキのタッチがイイ。ノーズダイブはけっして大きくない。プログレッシブアシスト制御されたパワステの切り味は、最初はソフトタッチ。そして、ロールしてるのか、してないのか? という不思議な感覚でノーズが自然とクリッピングポイントへ向く。
タコメーターは5500rpmあたり。ちょっと意地悪してアクセルをガバっとあおってみると、アクセルとエンジンとシャシーが直結して12SR全体がグングンと躍動する。この感覚、絶対に1.2リッターじゃない。そしてFFらしくもない。フロントのイン側が浮き上がることもないし、トルクステア(コーナー旋回中、フロントタイヤが空回りしてコーナー外側に逃げる動きがステアリングに伝わる現象)の気配もまったくない。フロントが旋回してから、あとからリアが無理矢理に旋回するような感じも全然ない。
これほど人車一体になれる国産FFモデルは珍しい。しかもこれ、あのマーチなのに。マイチェン前の12SRと比べても格段の進歩だ。ただのサスチューン、ただのエアロ武装とは次元が違う。これは“相当スゴいこと”をしてあるに違いない。その詳細を日産&オーテックの担当者の方々にジックリとうかがってみよう。(つづく)