「コルト『プラス』の開発初期段階では、『コルト』の派生車ではなく新しいファミリーワゴンの新型車を作る予定でした」と語るのは、コルトプラスの開発責任者、三菱自動車商品企画本部FF系開発センター プロジェクトマネージャーの吉松広彰さん。
吉松さんは91年に発売を開始した『ミラージュ』や『ランサー』から商品企画に携わり、その後もミラージュ/ランサー系の開発を続け、98年からコルトの商品開発に参加。そして2002年6月からコルトプラスの取りまとめを担当している。
「コルトプラスは三菱自動車 仲西昭徳デザインセンター長とふたりで、ラゲッジが広くユーティリティに優れたコンパクトカーを作ろうという話で開発を進めてきました。最初は新型車を計画していたのですが、やはりコルトのラインナップを充実させたほうがベターという判断で、コルトプラスということに落ち着きました。コルトは欧州での評価が高く、そのイメージを踏襲できるというメリットもあります。また、コルトプラスとすることで、パーツも流用できるので、コストを下げることもできます」
「開発段階では流行の3列シート車も考えましたが、すでに何車種かのクルマが発売されていたので、独自のパッケージングで勝負しようということになりました」と語る。
コルトプラスは結果的にはコルトの派生車種となったが、そのぶんコルトで熟成されたコンポーネンツを手に入れ、新型エンジンの採用も行なわれた。デザイン的にもコルトのワンモーションフォルムを崩すことなく、広いラゲッジを持つコンパクトカーに仕上がっている。結果的にはまったくの新型車を開発するよりも、このほうが正解だったかもしれない。(つづく)