『キープアイ』が提供するサービスは、GMが北米で実施している『オンスター』のそれとよく似ている。遠隔操作用のインフラがキープアイではPHS、オンスターでは通信衛星という規模の違いこそあるが、サービス内容には遠隔操作型ならではの類似点もある。
キープアイ最大の特長は「通信を使い、外部からセキュリティの操作が行えること」だろう。しかも、ユーザー本人が行うのではなく、キープアイセンターと呼ばれるコールセンターのオペレーターが代行して行うことになる。日本セキュリティーアンドサービスの玉本社長によれば「ユーザーにはリモコンボタンを押すだけの簡略な操作だけとし、複雑なコントロールはセンター側で一括して行なうようにした」という。
例えばクルマが盗まれた場合、ユーザーはコールセンターに電話をかけ、クルマが盗まれた旨を伝える。オペレーターは個人IDと暗証番号で照合を行い、クルマに向けて電話回線で「パニックモード」作動のコマンドを送る。するとどうなるか。
わずかなタイムラグの後、クルマの中には警報が鳴り響くことになる。クルマを盗んだ犯人が運転中だったら相当に慌てること間違いない。そのぐらいの音量でなる。この警報を止めるためにはエンジンを切るしかないのだが、センターから警報動作のコマンドが送られている場合、それを解除するまでエンジンの再始動はできない。セルモーターが回る代わりに警報が鳴る。
技術的には走行中のクルマのエンジンを止め、ドアを自動的に施錠して車内から開けられなくするということも可能だ。ただし、これは事故に直結する可能性があるため、機能制限としてあえて使えなくしてある。
施錠できるということは開錠も可能ということだが、キーを閉じこんだ場合などには同様にセンター側からの操作によってドアを開けることができる。オンスターでも緊急時のドア開錠サービスはサービスの柱となっているが、これはキープアイでも意外に重宝する機能のひとつかもしれない。