新型『キューブ』の駆動方式はFFと4WDだが、4WDは一般的なフルタイム4WDではなく、前輪をエンジンで、後輪を電気モーターで駆動するというユニークなものだ。プラットフォームが共通の『マーチ』に設定され、さきに市場に登場している。
「e・4WD」と名づけられたこのシステムは、前輪のトラクションが弱まったときなど、4WDの作動が必要な時に、4WDコントロールユニットが専用ジェネレーター(発電機)に作動を指示。生みだされた電力でモーターを回して後輪を駆動するというものだ。
通常の4WDモデルが、エンジンパワーを後輪に伝達するために巨大なプロペラシャフトを床下に通さなければならないのに対して、e・4WDはモーターユニットに電源を供給するハーネスだけを通せばよく、車内のフロアはFFと同様にフラット。重いプロペラシャフトを回す必要がないため、燃費の差も2WD/ATが16.4km/リットルであるのに対してe・4WDは15.8km/リットルと、ほとんど差がない。
バッテリーを搭載していないので、電気モーターのみで駆動力を発生することはできず、その点がトヨタのハイブリッドシステムとは異なる。e・4WDもエネルギー回生システム、出力制御インバーターなどを搭載すれば、同様のハイブリッドシステムへの発展が可能だ。なお発動機が2種類あるという意味では、e・4WDももちろんハイブリッドである。