何の先入観もなくヒュンダイ『TB』を見たなら、大半の人はこれを韓国車だとは思わないだろう。シートに座ったときの感覚は、正にヨーロッパ車の“それ”なのだ。ドアを閉めたときの音も重々しく、従来の韓国車につきまとっていた安っぽさは全くない。
TBの開発責任者であるチョン・サムギ・ゼネラルマネージャーは「世界戦略車ということもあり、安易な妥協はしなかった」と語る。VW『ポロ』を始め、欧州で人気の高い小型車を徹底的に研究。「ドライビングフィールや、居住性など数百の項目に分類し、それぞれをライバルより良くしていくことを目標に設定にしました」という言葉が証明するように、仮想敵とされたライバル車を確実に上回る。
エンジンについても「ヨーロッパ市場は実用域を重視します。TBではその考えに則っとり、最大トルクを3000回転程度で発するようにしました。発進から加速までは他のクルマよりもスムーズだと思います」というように実用重視。日本同様、韓国もスペックの「最高」という数値にだけ注目するお国柄だが、あえて実用域を主眼に置くという思想もこれまでとは大きく異なる点だろう。