読者のK. T. さんからの質問---スズキ『エリオ』はインパネにデジタル・メーターを使っていますが、コストを徹底的に切り詰めるスズキらしくないと思います。ひょっとして部品の小型化や、一体化によって組み立てコストが下がっているのですか?
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デジタル・メーターの採用理由を説明しくれたのはデザイン・グループ長の吉村等さん。「エリオのインテリアデザインの目標のひとつは『開放感』。そのためメーターバイザーをできるだけ低くしたかった。そのためのデジタル・メーターです。コストの点ではまだ通常のメーターの方が安いですね」
続けて「またインテリアデザインのもうひとつの目標には『ハイテク』というのもあり、デジタル・メーターはこの点にも合います。ただ広々とした開放感は必要ですが、さらされて不安になるようではいけない。適度に包まれた安心感に留意しました」と語る。つまり必要なところにはきちんとコストをかけているのだ。
またダッシュボードのシボ(表面の立体模様)が細かく、ハッキリ出ている。ここもコストのかかるスラッシュ成形のようだ。スラッシュ成形は粉体樹脂を型の中に入れて、それから加熱、成形する方法。液状の樹脂を型の中に射出するより細かい造型が可能なのだ。「いいえ、普通の射出成形です」と吉村さん。「スズキが小型車でいい加減なものを作ると『しょせんは軽自動車メーカーだから』と言われてしまうから頑張りました」と、意地を見せた。