【PS2・GT3】自動車評論家が語る「GT3」の魅力

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ただステアリングを切れば曲がるのではなく、曲がるためにはブレーキングによる荷重移動などを行う必要があることを教えたクルマのゲームは、『グランツーリスモ』:が初めてである。ドライビングのセオリーを使わなければキチンとクルマを走らせることができない、実車の世界では当たり前のことだが、これを実現したゲームはそれまで存在しなかった。 もちろん登場車種が実在し、車種が100種以上あったこともトピックだったが、驚きだったのはやはり実際の自動車の運動特性を再現しようとしたことだった。

『グランツーリスモ2』ではさらに車種数も数倍以上に膨れ上がり、グラフィックも進化を遂げたが、ここでもやはり自動車の運動特性はアップデートされていた。ゲームにおいてより本物に近い動きを再現するという、あくなき追求はここでも続けられていたのだ。

グランツーリスモで残念なことは、操作系がコントロールパッドであることと、実車のような体感面を実現できないことだった。しかし、『グランツーリスモ3』ではその領域にさえ足を踏み入れたといえる。操作系にはついにステアリングコントローラーとペダルを用い、さらにステアリングは反力を出すフォースフィードバック機構を搭載したものを選んでいる。残されたのはもはや、Gを身体に感じさせることだけ。つまり、ある意味家庭用ゲームとしてできる究極を極めたのである。

以前から開発の現場には何度もお邪魔しているが、今回初めてプレイさせてもらった時から既にステアリングコントローラーは用意されていた。そしてグランツーリスモ3を初めてプレイした瞬間、ボクはこんな風にさえ思った。「もしやこの人たちは、本物のクルマを作ろうとしているのでは?」 それほど操作感は極めて実車に近いものだったのだ。

フォースフィードバックを得たステアリングコントローラーによって、ボクらは今回から実車に良く似たステアフィールを楽しむことさえできる。コーナーに対して操舵していく時、そこには操舵における過渡域の味わいがきっちりある。操舵することで、タイヤがどのくらい切れているかということを、手のひらで知ることができるのだ。

もちろん、強すぎる減速や弱すぎる減速とともに操舵すればキチンとアンダーステアが出て、ブレーキを残しながら操舵すればオーバーステアが出ることも手のひらで分かる。 まずはこの事実に多くの人たちがまたもや驚かされるはずだ。『PS2』プラットフォームを使うことによるグラフィックの美しさが、グランツーリスモ2とは比べ物にならないことに気付く以前にそれを感じるハズである。

実際の自動車に試乗するとき、ボクはまずタイヤの一転がりがステアリングにどう伝わるかを見る。ステアリングフィールが優れたクルマは、間違いない良いクルマである場合がほとんどだ。グラツーリスモ3を初めてプレイした時、感じたのはまさにそれに近いことだったといえる。 

河口まなぶ(かわぐちまなぶ)

1970年5月9日生 AB型

日本大学芸術学部文芸学科卒

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)最年少会員

グランツーリスモはシリーズ1から車両解説を担当。活動は主に自動車専門誌.。カーセンサー、ホリデーオート、モーターマガジン、ティーポ、J’sティーポ、オートプラス、ドライバー、ザッカーなどに執筆。

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