理論上から言えば、GPS衛星だけを利用する測位システムの精度が大幅に向上することは確かである。とくに車速パルスがシステム上得られないハンディ型は明らかに精度向上としてのメリットが出てくると思われる。
しかし、カーナビに限って言うと、現在販売されているのはすべて地図上の道路に強制的に自車位置を合わせるマップマッチング機能を備えているため、精度が上がったという実感は意外に湧かない可能性がある。
そこでそのメリットが得られるのは、エプソンのロカティオのようなハンディ型情報端末である。これはシステム内にインストールしてある地図とGPSをリンクさせて案内する機能を備えているが、これは主に歩きながら使うことをメインとしている。この機種の場合、測位は基本的にGPSのみとなっているから、電波を受信したときの精度向上には大きなメリットとなる。
しかし、精度向上はあくまでGPSからの電波を受信できた場合の話。私の経験上では、歩行者がこの機材を持って歩いた場合、郊外ならともかく、都市部ではどうしてもビル側に寄り添うようにして歩かざるを得ない。このロケーションがGPSからの電波を受けにくくしてしまい、結果としてGPSの精度向上のメリットが受けられないことになるのだ。