米国政府はカーナビなどにも利用されているGPS(全地球測位システム)の精度を落とす「精度低下機能」を解除した。今回の措置の背景には、GPSの利用拡大に伴って、民生用GPS電波の精度向上を求める声が強まったことがある。
米国政府はこの措置について「誤差の範囲がサッカー場からテニスコートに縮小する」と説明しているとのことだが、まさにその通り。
これまでは、この誤差を補正するために補正信号をFM多重信号に乗せてみたり、駐車場の誘導システムではビル内に補正信号を送信するシステムを置いたりと、GPS利用において各メーカーはその対応に追われてきたわけだが、今後はこういったシステムはほとんどいらなくなりなりそうだ。
今回の措置をカーナビ側からみると、これまでカーナビはマップマッチングやD-GPS(固定局とFM波を使った測位補助サービス)などの技術によって、その精度低下を補正してきたわけだが、今後はこうしたシステムに頼らなくても高精度な測位が可能になる。その意味で、GPS測位だけのカーナビがより手軽に利用される環境が出来上がったとも言える。
ただ、ビル影などでは電波の補足が難しくなるのは変わりはなく、安定した測位を継続するためにはGPS+自律航法のハイブリッドシステムは今後も変わりなく採用されていくだろう。