【ハスクバーナ スヴァルトピレン801 試乗】パラツイン搭載でパワーUP!欲張りライダーに応えるスマートバイク…小川勤

ハスクバーナ スヴァルトピレン801
  • ハスクバーナ スヴァルトピレン801
  • 直線と曲線を組み合わせた未来的なデザインのネイキッド。シート下にエアボックスを設けるなど独自の車体構成も特徴。シートレールはアルミダイキャスト製だ。
  • ハスクバーナ スヴァルトピレン801
  • ハスクバーナ・モーターサイクルズの「スヴァルトピレン801」と筆者(小川勤)。往路のフライトでロストバゲージしたため、今回は現地で純正ウエアを借りての試乗となった。
  • クロームモリブデン鋼のチューブラーフレームに並列2気筒エンジンを搭載。シンプルなスタイルだが、スポーツ性は高く、燃料を除く重量は181kgに収まっている。
  • ハスクバーナ スヴァルトピレン801
  • ハスクバーナ スヴァルトピレン801
  • 筆者(小川勤)の身長は165cm、体重は68kg。ポジションは自然なネイキッドでハンドルやステップは馴染みやすい位置にある。

ハスクバーナ・モーターサイクルズの『スヴァルトピレン801(Svaltpilen 801)』がフルモデルチェンジ。エンジンは単気筒から並列2気筒へと大幅チェンジが行われたが、シンプル&スポーティなスヴァルトピレンらしさはしっかり継承。フランスのマルセイユで開催された試乗会に参加してきた。

◆他にないパッケージを持つミドルネイキッドスポーツ

モノトーン基調の高級感のあるスタイリング。701のエンジンは単気筒、801は2気筒になったがスリムな印象はそのまま。2024年8月発売予定で138万9000円。モノトーン基調の高級感のあるスタイリング。701のエンジンは単気筒、801は2気筒になったがスリムな印象はそのまま。2024年8月発売予定で138万9000円。

スヴァルトはスウェーデン語で「黒」、ピレンは「矢」という意味。だから「スヴァルトピレン801」のカラーは黒のみがラインナップ。しかし、そこに他メーカーにはない圧倒的な個性を持たせている。

スタイルは一見ネイキッドだが、そのタイヤのパターンを見るとどこかスクランブラーに映るし、高性能なブレーキやサスペンション、軽い車重や高いエンジンスペックに注目すればスポーツネイキッドにも見える。また、何にも似ていない未来的なスタイリングに注目すれば、ファッション性の高いバイクとしても捉えることも可能だ。

シンプルかつスタイリッシュながら、オーナーの求めるライフスタイルに応えてくれるのがハスクバーナ・モーターサイクルズの「スヴァルトピレン801」なのである。

開発スローガンは、「Escaping the Ordinary(日常から抜け出す)」で、先にデビューした『スヴァルトピレン401』と『ヴィットピレン401』と同様。「スヴァルトピレン&ヴィットピレンファミリー」を選ぶことで、日常の中に非日常が見つかり、バイクライフがさらに楽しくエキサイティングものになるということである。

◆エンジンは単気筒から2気筒へ。シャシーや足まわり、電子制御も刷新

クロームモリブデン鋼のチューブラーフレームに並列2気筒エンジンを搭載。シンプルなスタイルだが、スポーツ性は高く、燃料を除く重量は181kgに収まっている。クロームモリブデン鋼のチューブラーフレームに並列2気筒エンジンを搭載。シンプルなスタイルだが、スポーツ性は高く、燃料を除く重量は181kgに収まっている。

先代の「スヴァルトピレン&ヴィットピレン701シリーズ」は、692.7ccのSOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載。ビッグシングルスポーツとして楽しまれてきたが「スヴァルトピレン801」は、799ccのDOHC4バルブ並列2気筒エンジンを搭載。これによりパワーは74.8psから105psにアップ。新たに搭載されたエンジンは52kgととても軽量だ。

近年、並列2気筒エンジンのミドルセグメントはたくさんあるが、ハスクバーナとKTMは独自の爆発間隔を採用。それは同社の75度Vツインエンジンと同じ不等間隔爆発で、優れたレスポンスとトラクションを両立。新しい「スヴァルトピレン801」のキャラクターは、このエンジンによるところがとても大きい。

「もしかしたら前モデルと互換性のあるボールベアリングを見つけることはできるかもしれませんが、NEWスヴァルトピレン801はまったく新しいバイクです」とエンジニアが話すように前モデルを踏襲しているディテールはなく、全てが新しくなっている。

タイヤはピレリ製のMT60RS。ブロックパターンが特徴だが、ロードでもグリップ感が豊富。ハンドリングの穏やかさにも貢献。ブレーキシステムはJ.Juan製。ボッシュ製のコーナリングABSと連動する。タイヤはピレリ製のMT60RS。ブロックパターンが特徴だが、ロードでもグリップ感が豊富。ハンドリングの穏やかさにも貢献。ブレーキシステムはJ.Juan製。ボッシュ製のコーナリングABSと連動する。

「なぜ801にはヴィットピレンがないんですか?」と開発陣に投げると、それはマーケットからのニーズがスヴァルトピレンの方が多かったからとのこと。

ちなみに前モデルの「スヴァルトピレン701」はフロントが18インチ。スヴァルトピレン801は前後17インチで、タイヤはブロックパターンのピレリ製MT60RSを採用する。「このタイヤサイズは最もポピュラーなため、もしこのタイヤがあまり好きでない場合は、カスタマイズして欲しいですね」と開発陣は言う。

◆自分色に染めやすいオールマイティなスマートスポーツ

筆者(小川勤)の身長は165cm、体重は68kg。ポジションは自然なネイキッドでハンドルやステップは馴染みやすい位置にある。筆者(小川勤)の身長は165cm、体重は68kg。ポジションは自然なネイキッドでハンドルやステップは馴染みやすい位置にある。

ポジションはやや前傾のアップライト。取り回しは簡単で、足着き性は良好だ。ちなみにこの日は冬装備が必要なほどの極寒。まずはトラコンやABSの介入度が多めのストリートモードを選んで走り出す。試乗コースはワインディングがメインだ。

よく動くサスペンションは乗り心地の良さを披露し、すぐにライダーを安心させてくれる。スロットルを開けるとストリートモードでも十分な速さを披露。独特のパルス感を持つツインエンジンは、とても気持ちが良いし扱いやすい。

ブロックパターンのピレリ製MT60RSは、しっかりラジアルタイヤのフィーリングを持ち、温度依存が低く、グリップも明確だ。見た目はどこかスクランブラーらしさを感じさせるが、走り出してしまうとスポーツバイクそのもので、操る楽しさに溢れている。

ハスクバーナ スヴァルトピレン801ハスクバーナ スヴァルトピレン801

そんな楽しさを手軽に味わせてくれる電子制御がアップ&ダウンのギヤチェンジに対応するイージーシフト。低速時は若干ギクシャク感があるが、スロットル操作にしっかりメリハリをつけ、回転を上げると気持ちよく使うことが可能だ。

朝は極寒だったが、お昼を過ぎると汗ばむ陽気に。身体もタイヤも十分温まったのでスポーツモードを試すと一気にバイクが速くなった。さらにオプションとなるダイナミックモードもテスト。ダイナミックは、パワー感はもちろん、トラクションコントロールやABSの介入度をすべて任意に設定できるモード。トラクションコントロールとABSのリヤをカットして、電子制御にあまり頼らないライダー主導のバイクに仕立ててみた。

ハスクバーナ スヴァルトピレン801ハスクバーナ スヴァルトピレン801

するとライダーの積極的な操作に応えてくれるダイレクト感が増す。動きすぎるサスペンションの減衰力を強めると、さらにスポーツバイクらしい振る舞いに。こうなると確かにもう少しスポーティなタイヤが欲しくなる。「タイヤは好みで……」と言っていた開発陣の言葉を思い出す。

モノトーンな雰囲気は様々なファッションを楽しませてくれるし、シンプルなスタイルは欧州の街並みに自然と溶け込む。そうかと思えば、電子制御に頼った疲れにくいツーリングスペシャルにすることもできるし、峠ではスポーツバイクに仕立てるのも面白い。欲張りなライダーの要望をスマートに楽しませてくれるのがハスクバーナのネイキッドなのだ。

ハスクバーナ・モーターサイクルズの「スヴァルトピレン801」と筆者(小川勤)。往路のフライトでロストバゲージしたため、今回は現地で純正ウエアを借りての試乗となった。ハスクバーナ・モーターサイクルズの「スヴァルトピレン801」と筆者(小川勤)。往路のフライトでロストバゲージしたため、今回は現地で純正ウエアを借りての試乗となった。

小川勤|モーターサイクルジャーナリスト
1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

《小川勤》

モーターサイクルジャーナリスト 小川勤

モーターサイクルジャーナリスト。1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

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