【池原照雄の単眼複眼】自動車業界に「働きやすい」会社は少ない?

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ベスト10には電機が7社

自動車業界は働く側からは、いまひとつ魅力がないのだろうか---。そう考えさせられる日本経済新聞社の調査結果が最近、公表された。「働きやすい会社2008」のランキングであり、上位100社に自動車メーカーは4社しか入っていない。

この調査は企業の人事・労務制度について毎年実施しているもので今年が6回目だった。企業向けのアンケートと、労働に関する会社員(ビジネスパーソン)を対象にした意識調査の2本立てで行い、会社員の価値観を重視しながら企業の回答内容を採点するというものだ。

1位から3位まではNEC、松下電器産業、日立製作所と電機メーカーが独占し、ベスト10でも7社が電機業界だった。自動車は日産自動車が12位で最高位につけ、以下ホンダ(34位)、マツダ(38位)、トヨタ自動車(46位)の順。

◆出産支援などで高評価の日産

このほか100位以内にはデンソー(71位)とアイシン精機(72位)が入っている。全業種での回答企業は442社。調査対象外となったのか、回答に協力しなかったのかは不明だが、自動車業界のランキング入りは少なく、順位も冴えない。

上位企業は、「在宅勤務制度の対象を全社員の約9割に拡大し、多様な働き方に工夫」(NEC)、「非正規社員の育児休業制度など子育てに配慮した職場づくり」(松下)などが評価された。

自動車業界でトップの日産は、性別や国籍、経歴などの多様性(ダイバーシティ)に配慮した人事制度や、出産・育児支援制度の充実を急ピッチで進めており、うなずける評価だ。

◆ワークライフバランスを重視

働きやすさに関する会社員向けの意識調査では「有給休暇の取りやすさ」を重視するとの回答が最も多かったという。次いで「実労働時間の適正さ」を挙げており、仕事と私生活の調和である「ワークライフバランス」を確保したいという意識が強く表れている。

こうした働き方への環境作りが遅れている企業の評価は下がることになる。日ごろ接する自動車メーカーの人たちを見ていると、まだまだ「長時間労働」だなと思う。

ある大手では、年度末には休まざるを得ないという人の話を聞いた。年間の残業規制時間をオーバーするための調整だという。有給休暇の消化は推して知るべしだ。

この調査で上位にランクされた電機業界の最近の業績状況は、自動車業界に比べると良くはない。しかし、「『働きやすい』ことは業績の向上にはつながらない」などと考えていたら、人材の確保で差をつけられ、やがてボディーブローのように効いてくるのだろう。

《池原照雄》

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