最大のポイントはエンジン。意地でも直6を守るBMWだが、これまでとは味わいが大違い。感覚が軽すぎるほど軽いのだ。
ツインターボといっても、どこかで急に盛り上がるわけではなく、とことん全域ブーストで、なんと最大トルクが1300〜5000rpmで出る。軽く踏んだだけで何の抵抗もなくス〜ッと、しかも強力に出てしまうのは不気味なほどだ。
音や振動が最上級のガソリンエンジンで、特性は最新のディーゼルって感じ。根っからのエンジン屋であるBMWの、21世紀に向けての回答がこれなのだ。だからあまり積極的に踏まず、6速ATの高いギアだけ使ってスルスル走るのが、もっとも持ち味を発揮させるコツだ(ぶん回しても気分いいけど)。
サスペンションは硬く、普通の速度ではゴツゴツしすぎ。そのくせコーナーでは外側がピョコッと沈む。低速でクイックなアクティブステアリングもそんな性格を強調する。洗練されたエンジンに対し、足まわりはちょっと素朴すぎるようだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★★★☆
熊倉重春| モータージャーナリスト
東京・焼け野原の戦後第一期生。25年間クルマ雑誌に勤めて何でもやったので、フリーのジャーナリストになった今でも何でもやる。いや、クルマのことなら何でも首を突っ込みたがる。今最大の関心事はエネルギー問題。