Mモデルに乗り込んですぐに通常のBMWとの違いを感じるのはメーターだ。スピードメーターもタコメーターも通常のBMWでは白い針がMモデルでは赤くなっている。300km/hまで刻まれたスピードメーター。9000rpmまで刻まれ8000rpmからレッドゾーンが始まるタコメーターなど、走り出す前からの演出が始まっている。
シートもBMW M社でMモデル独自のものを開発している。サイドサポートがよりしっかりしたもので、見た目のデザインもよりスポーティなテイストだ。
エンジンはターボチャージャーやスーパーチャージャーのような過給器を用いず、エンジン回転を上げてパワーを稼ぐという手法を用い、ラインアップを形成している。レーシングカーのパワーの出し方と同じオーソドックスな方法で、これは直6も新しいV10エンジンも例外なく同様のアプローチだ。
トランスミッションはクラッチペダルがないSMG(シーケンシャル・M・ゲトリーベ)と呼ぶタイプがMモデル用に開発されている。『M3』では6速SMGを、V10エンジン用には7速SMGが開発され、クラッチペダル付きはない。ちなみにピュアなスポーツカーを目指す『Z4』のMモデルはクラッチペダル付きの6速MTのみをラインナップする。
サスペンションはバネ、ダンパー、スタビライザーが変わるだけでなく、ゴムブッシュ類もよりダイレクトなフィールが味わえるように交換される。スタビライザーのホルダーはMモデルでは小さくなり、ゴムブッシュも薄型だ。フロントロワアームも新設計になり、ゴムブッシュがボールベアリングに変更されるなど、まったく別モノになっている。
ボディはフロアレベルでかなりの部分で補強されている。Z4のMモデルではフロント部分は新設計で、デファレンシャルギヤの前から左右のサイドシルに向けてV字型に補強板を延ばした構造だ。これは小さなハンドル角から正確に曲がるための横曲げ剛性を上げる効果を狙ったものなのだ。(つづく)