介護のための寄り道は通勤として許容範囲

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会社からの帰宅途中に介護を必要とする義父の家に立ち寄り、そこから自宅に帰る途中に交通事故に遭った58歳の男性が「通勤災害」の適用を求め、国を相手に休業給付不支給の決定取り消しを求めた民事訴訟の判決が12日、大阪地裁で行われた。裁判所は被告の国に対し、不支給決定の取り消しを命じている。

原告の男性は2001年2月26日、大阪府富田林市内に会社から自宅まで帰宅する途中で同市内にある義父宅に立ち寄った。そこで義父の入浴介助を行った後に自宅へ戻ろうとしたが、同日の午後8時45分ごろにバイクにはねられ、頭蓋骨骨折などの重傷を負った。

労災保険法では日常生活上必要な行為であれば通勤途中での立ち寄りを認めていることから、男性は2003年2月、通勤途中の事故だと主張して羽曳野労働基準監督署に半年間分の休業給付金支給を求めた。

しかし、同署は「労災保険法で定義された“通勤”は自宅と勤務先の間を合理的経路で往復することである」と主張。「介護は就業と無関係であり、通勤中の事故には該当しない」と判断。これを理由として通勤災害と認めず、休業給付金の不支給を決めた。男性はこれを不服として国(労基署)を相手に提訴していた。

12日の判決で大阪地裁の山田陽三裁判長は、原告の男性が週4回の入浴介助を行っていたことから、「介護は原告男性にとって日常生活の一部となっておりも必要不可欠だった」と指摘。「男性が介護のために通常の通勤経路を逸脱するのは止むを得ず、これは買い物などと同様の日常生活に必要な行為だ」として通勤途上の災害であったと認め、国に対して不支給を取り消すように命じる判決を言い渡している。

《石田真一》

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